Marifonie試験に合格!

3月の声を聞くと、ヨットのシーズンもそろそろ胎動の気配を見せる。
しばらく話題から遠ざかっていたカテゴリー、セイリング関連記事が久々に登場だ。

主人は、今年も3月終わりから4月初めにかけて、ヨット荒天トレーニングを受けに、アイセル湖およびワデン海に行く。2年前は、雪が降り視界もゼロで、海上警察から出航しないようにとのアドヴァイスを受けたほどの荒れ模様だった。霧で自分の乗っているヨットの舳先も見えないのに、出航しトレーニングは行われたのだった。
去年のその時期は、ドイツ海兵隊(海軍?)が開催した訓練で、北海で揉まれた。
3年前には、5日間でヨットでロンドン往復というヘビーな航程もこなした。

以上のように着実にスキルアップしている主人には、ヨットに関してわたしが怠けているのが気に食わない。
「寒い北海は無理だろうから、カーニヴァルの時期にカリブ海に行って訓練を受けてくれば?」と、優しい言葉を掛けてくれた。もちろん、その費用はわたしが自分で出さなければならないから、そう言うのだ。これぞ、正統的ダッチ・アカウントといえよう。

今年の5月休みは、直後に長男の高校卒業試験が控えているので、遠出のセイリングの予定はない。
夏休みには、クロアチアで2週間ヨットを借りる手配済み。勝手知ったると豪語してもいい海域である。何か新しいことにチャレンジしないことには、人生=ヴァカンスの意義が薄れる。

それで、わたしはオランダの海上無線の資格試験に挑戦することにした。日本では、海上特殊無線技師とか海上無線通信士に相当する資格だろうと思う。国ごとに資格定義および内容は微妙に異なるので、よく分からないが。

基本的に、マリンVHFという海上無線の機械が装備された船舶を操縦して航行する際には、資格所持者が一人乗っていなければいけない。だれもいない場合は、機械を取り外すか、使えないようにする必要がある。海や水上の場合、ヨーロッパ各国ごとに法規が異なるので、逃げ道はあるのだが、資格なしでの海上無線使用は合法とはいえない。

今までヨットをチャーターしたことのある地中海の海域(スロベニア、クロアチア、ギリシャ、トルコ、イタリア)では、個人がヨットをチャーターして船団を組むフロティッラ形式の場合、海上無線の資格は厳しく問われなかった。機械自体の操作は難しいことはないし、海上無線のルールもヨットが操縦できる人なら大体分かっているし、リーダー船のスキッパーの責任範囲ということにできるのだろう。また、陸地や島が近くにあるから、携帯電話での連絡可能範囲も広く、無線を使わずに済むかもしれない。しかし、よく考えると、いい加減なものである。

しかし、北海周辺は厳しい。太陽さんさん、視界も広く、剣呑なタンカーやコンテナ船も少ない地中海とは全く異なり、まさに板子一枚下は地獄、という表現も誇張ではない海なのだ。だから、無線連絡は、出入港、水門通過の際のみならず、安全性という観点から非常に重要だ。去年イギリスにヨットで渡った時、それは重々思い知らされた。

毎月1回、正式な試験が開催されるオランダの海上無線基本資格は、必要な理論のほぼ全てをカバーしているから、わたしがセーリングするだろう海域とヨットの種類だったら、この資格1枚で十分だ。ノルウェーまでノンストップで航海するとか、大西洋横断とかに挑むのでない限り、問題ない。

講習会と試験を申し込んだ。丸1日の講習と教科書代金および受験費用は、計150ユーロである。これには飲み物や簡単なランチ(オランダ式サンドイッチ)も含まれる。
朝9時に始まり、昼食を挟んで午後2時まで講義を聴き、そのあと模擬試験を3回行い、午後4時半から正式の試験を受けた。講習は受けずに、自分で学習して試験だけ受けることも可能だ。
教科書は2週間前くらいに送られてきた。パワーポイントの講義内容も事前にメールで届いた。つまり、予習して来るように!ということなのだ。
この手の教科書というのは、読み物として楽しめるものではない。とにかく覚えなければいけない事項が多いから、ほぼ丸暗記しなければならない。半分くらいまでは真剣に読んで、残りはまあいいか、という程度の予習で講習に臨んだ。

わたしを除く25人の受講生は、数字などもなかなかよく覚えてきていて、優等生だ。150ユーロも払っているから、皆真剣になるのだろう。予習をあまりしていないわたしは、その代わりに講義をとにかくしっかり聴いてメモを取り、泥縄式学習にいそしんだ。
講師は、北海での航行経験の多いスキッパーなので、面白い逸話をちりばめて、なかなかに聞かせる内容だった。スピード・ボートも所有しているので、イギリスまで4時間で渡れるから、気が向いた時にロンドンに自家用船で行けちゃうという人である。

スキッパーというのは、オランダ語に語源を持つ英語で、船長=キャプテンのことなのだが、操縦するとは限らない。操縦その他は操舵士にまかせて、自分は航路を選んだり、有事の際判断を下したり、船の総合的な責任を担う人のことである。また、海上無線資格保持者は、スキッパーである必要はない。自分達でヨットをチャーターする場合、基本的には、主人がスキッパーになる。操舵はクルーも交替で行う。
初めての海域を航海する場合は、念を入れていつも熟練のスキッパーを雇うが、そのスキッパーはわたし達に指示を与えるだけで、航行中はヨット内部サロンにいることが多い。ナビゲーターとしての役割が大きいのだ。船頭多くして船山に上がる、という愚を避けるためともいえる。

午後5時に試験を終え、家に帰ると、インターネットに試験の答案が出ていた。結果は、正答率80パーセントで合格!試験は、マルチプル・チョイスの質問が30問。50点満点で35点以上(正答率70%以上)だと合格。なかなかにトリッキーな質問も多くて、予想より点数は低かった。
1日みっちり講義を受けたあと、3回も模擬試験をしたので、万全の構えで、落ちることはあるまいとは思っていたが、合格できてやはりほっとした。
正式な証書が送られてくるのは、2週間後だという。これが、今年50歳の誕生日を迎える自分の脳細胞が、まだなんとか使える証明にもなるだろう。
[PR]
by didoregina | 2010-03-14 00:24 | セイリング | Comments(2)
Commented at 2016-06-20 00:36 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by didoregina at 2016-08-19 18:29
鍵コメさま、ブログ更新を長い間放置していたため、コメントいただいていたのにお返事が遅くなり失礼しました。ようやく、今年の夏のクロアチアからヴェネツィアまでのセイリングの記事を書きはじめ、第一弾をアップしました。
これからもよろしくお願いします。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧