御伽噺とファミリー・コンサート

ピアノの師匠ペーターが、日曜の午後、老若男女誰でも楽しめるような、ファミリー・コンサートを企画した。

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            ライクハルト城の別館クッツハウスが会場

2010年3月7日        Peter Caelen & Ian Gaukroger (piano)
       Tim Schiepers & David Voncken (piano)
       Jacques Vriens (お話)

御伽噺がテーマの曲を、大人のピアニスト・コンビのペーターとイアン、それから生徒のティムとダーヴィッドが連弾演奏し、児童作家のジャック・フリンスが、合間にお話を語るという構成である。

D. Milhaud        Scaramouche

M. Ravel        Ma mere l'oye
                               Pavane de la Belle au bois dormant
  Petit Poucet
  Laideronnette, Imperatrice des pagodes
  Les entretiens de la Belle et de la Bete
  Le jardin feerique

F. Schubert        Kindermars D 928
       Vier Landler D 814
       March Militaire D 733 nr.1

W.A. Mozart        Sonate in D KV 381

P.I. Tschaikowski/N. Economou   Notenkrakersuite
                                  Miniatuur Overture
    Mars
    Dans van de Suikerboonfee
    Russische dans
    Arabische dans
    Chinese dans
    Dans van de Mirlitons
    Bloemenwals

シューベルトとモーツアルトの連弾を子供コンビが弾いて、その他は、大人コンビによる演奏だった。

ティムとダーヴィッドは10歳と12歳で、ピアノを習って3年目だが、かなりのレヴェルだ。すでに昨年末、ロッテルダムのデ・デゥルンで行われたアマチュア・ピアノ・コンテストでデビュー済みという、恐るべき子供達である。今日は、ティムがあがりまくって、ミスが多かったが、なんとか二人で乗り切った。
会場は、ちびっ子から、おじいちゃん、おばあちゃんまで年齢層の広い客で満席の盛況である。
児童作家が、曲の合間に、演奏曲目にふさわしいお話を語り聞かせるという構成もよかった。


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                      イアンとペーター

この二人は、1年に1,2度、2台のピアノでの演奏会をするのだが、イアンはアムステルダム在住のため、二人揃っての練習時間はなかなかとれない。
チャイコフスキーの「胡桃割り人形」を、2台のピアノでぴったり合うように演奏するのは、結構難しい。
一般に、バレエ音楽のピアノ曲版というのは、まずリズムが正確でないと聴くに耐えない。
それを二人で演奏するのは、練習風景を知っていると、聴いていて息がつまりそうになるものだ。しかし、二人は合同練習時間の物理的短さを、技術的にカバー、クリアして、安心して聴くことが出来た。

(「胡桃割り人形」は、次男が年末に音楽学校のコンサートでの、2台のピアノで各4手、計8手での演奏に参加した。各人別パートを何ヶ月間か個別練習してから、4人で1ヶ月みっちり合わせる練習をしたから、上手くいった。しかし、ピアノ・アレンジとしては、4手のほうが、ずっと聴き心地がよい。オーケストラ曲をピアノ・アレンジする場合、手の数が多い方が音に厚みが出て、オリジナルのオーケストレーションに近くなりそうなものだが、合わせるのが難しくなるだけで、効果はそれほどでもなかった。それよりも、普通に2手のソロ演奏アレンジのほうが好ましい。)

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                着物は、琉球絣柄の信州紬。
                帯は、薄い抹茶色のメルヘン調の染め帯。
                コンサートのテーマと雰囲気に合わせて。


終演後、イアンに話しかけてみた。

R「今年はアルベニス・イヤーだけど、演奏のご予定は?丁度7年前に、貴方の弾く『イベリア』を聴いたのが、ピアノ・レッスン再開のきっかけになったんです。いつかは弾けるようになりたいと」

I 「そうそう、アルベニス・イヤーだけど、アルベニスは『イベリア』に限らず超難曲ぞろいだね」

R 「でも、わたしでも弾ける曲もあるんですよ。サロン風の曲だけど」

I 「アルベニスの曲は、どれもサロン風といえる。ところで、7年後の今は何を弾いているの?」

R 「6月にオール・ドビュッシーのコンサートを開く予定で、練習してます」

そこへ、イアンの譜めくりをした、わたしの兄弟子クリスが割って入った。
C 「ええっ?ドビュッシーの全曲コンサートなんて、どうやってするの?」

R 「ドビュッシーの全曲ではなくて、コンサートの曲目が全てドビュッシーなの」

I 「とにかく、僕の7年前のコンサートが、契機になってるとは、うれしいね」
と、イアンは、とても喜んでくれた。
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by didoregina | 2010-03-07 22:01 | コンサート | Comments(10)
Commented by REIKO at 2010-03-08 19:32 x
素敵な催し物ですね♪
1曲目の「スカラムーシュ」が大好き!なんですが、日本ではちょっとナマでは聴けないです。
こういう気楽なテイストの曲を、休日にサラリと聴けるような集まりって、これぞ音楽を楽しむ真髄かもって思います。
着物を着て出かけるにもちょうどいいし♪
Commented by レイネ at 2010-03-08 20:46 x
REIKOさまも、20世紀のピアノ曲がお好きのようで、同好の士が見つかりうれしいです。
「スカラムーシュ」は、今回初めて聴きました。ちょっと、ラヴェルに似た雰囲気。
ミヨーのピアノ曲CDは、アレクサンドル・タローが演奏し、ミヨー夫人のナレーションが入ってるナクソス盤(!)を持っています。レパートリー開拓のために買っものですが、イマイチ、ぴんとこなかったのですが、今聴いてみると、Saudades do Brazilという組曲は、アルベニスっぽい洒落た感じ。ブラジル音楽は未開拓分野だから、挑戦してみようかな。

コンサートはファミリー向けということで、大人12ユーロ50セント、27歳未満の子供7ユーロ50セントと、値段を非常に抑えたもの。本物コンサートの取っ掛かりとしても、音楽教育上も、いい催し物でした。
Commented by Mev at 2010-03-08 21:30 x
すてきなサロンコンサートですねえ。うまい子供の登場も楽しそう。
それにしても、私は自分の無知に恥じ入っております。「スカラムーシュ」はフレディ・マーキュリーの独り言かと思っていました。
Commented by レイネ at 2010-03-09 05:36 x
Mevさま、リラックスした日曜日午後のコンサートとしては最高でした。

「スカラムーシュ、スカラムーシュ、ウィル ユー ドゥ ザ ファンダンゴ?サンダーボルト アンド ライティング ヴェリー ヴェリー フライトニング ミー、 ガリレオ、ガリレオ、ガリレオ、フィガロ、マニフィコ。。。」  ボヘミアン・ラプソディには、わたし達の青春の思い出が詰ってますね。
Commented by bonnjour at 2010-03-09 08:42
曲の選定や構成など、とても興味深いプログラムですね。お師匠さんのコンサートもさることながら、レイネさんのオール・ドビュッシーのピアノ・コンサートの詳細が知りたいな。6月まであっという間だと思いますが、練習頑張ってくださいね。
Commented by レイネ at 2010-03-09 17:23 x
bonnjourさま、6月のコンサートというのは名目上で、実はハット・トリック・パーティなんです。弟子がコンサートをするからと、ペーターがお城(およびコンサート・ピアノ)の持ち主に上手く話を付けてくれて、会場とピアノをタダで借りられることになったんです。(ペーターですら、ご両親の結婚40周年パーティでは、会場とピアノのレンタル料を支払った。コンサート・ピアノのレンタル料は結構高い。)
ですから、まずわたしとペーターがピアノ演奏して、その後飲み物およびつまみを供するという形にして、基本はあくまでコンサートという体裁で。
曲目は、「ベルガマスク組曲」より、「プレリュード」と「月の光」、「ガリウォッグのケーキウォーク」「レントよりなお遅く」「雪の上の足跡」「亜麻色の髪の乙女」を予定しています。
ペーターには「沈める寺」「水の反映」などの演奏を、お願いしています。
Commented by bonnjour at 2010-03-11 02:04
会場とピアノがタダって、すごいですね。ペーター師匠はたいしたタフ・ネゴシエイターとお見受けします。プログラムも魅力的です。ドビュッシーのピアノ作品の色彩感って、北部ヨーロッパの6月あたりの空気の感じによく合ってると思うのは私だけ?後ほどぜひ録音を、どこかのサイトにアップしてくださいな。
Commented by レイネ at 2010-03-11 20:33 x
bonnjourさま、まあ、ドビュッシーのピアノ曲の色彩感が6月の空気の感じにあってるとは、慧眼です。
パソコン音痴で、ROM状態からようやくブログ開設1周年を迎えた程度のわたしの能力では、録音アップなんて、かなり難しい。。。
でも、これでポスト・スーザン・ボイルズ(もしくはポスト・フジコ・ヘミング)としてブレークするかもしれませんから、メディア対応の心得指南を受けようかと、昨日から真剣に考えてるところなんです。(<-なんのこっちゃ?)
Commented by Mev at 2010-03-12 23:27 x
ドビュッシーコンサートの演目ももう決まっているのですね。ひとくちにドビュッシーといっても、ほんといろんな曲があって楽しそう!そういえば長男は発表会でケーキウォークを弾いたことがありますよ~。(いまはクラシックはほとんど練習しないでゲーム音楽を聴き覚えて弾いてるねっからのヲタクですが)
せっかくだから、どなたかに録音を頼んでみては?音源さえあればウィンドウズムービーメーカーでヴィデオクリップにしてYoutubeに投稿!待ってますよ!
Commented by レイネ at 2010-03-14 06:32 x
Mevさま、年をとると、ピアノ曲の新たなレパートリーを開拓しても記憶に残らないのが、恐ろしい事実なんです。すぐ弾けるようになっても、すぐ忘れちゃう。それで、コンサートのための曲は、今までに練習したことのあるドビュッシーの総集編みたいにしました。誰もが一度は聴いたことのある、耳当りのよいポピュラーなメロディーを選定ポイントにしました。そして、アミューズ、前菜、主菜、デザートなど、供する食事の内容に合いそうな曲ということも。

オランダ滞在日程に合うようでしたら、コンサート兼パーティにいらしてくださいね。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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