Trio Mediaeval の Folk Songs

アルチーナさんが、以前ブログで紹介していたノルウェーの女性3人組Trio Mediaevalの動画が、なぜかとっても印象に残り、名前が頭の片隅に引っかかった。彼女達のオランダ・ツアーのことを知ったのは、数ヶ月前である。しかも大都市の有名ホールだけでなく、なぜかヘーレンの市民劇場にも来るとわかり、心待ちにしていた。丁度日曜午後なので、お誂え向けである。また、ヘーレンだから学割が利くのもうれしい。(基本的に、コンサートだったら30ユーロ、オペラだったら80ユーロを上限としてチケットを買っているが、学割が利いたり、招待券を頂いたり、または補助金のおかげでもともと値段設定が低い場合が多いので、コンサートは平均20ユーロ未満で聴いている。オペラもマレーナ様が出演しないものだったら、50ユーロくらいまでしか出さない。)

コンサートには、音楽学校の仲間3人で出かけた。トースは、わたしが着物姿で来るだろうと踏んで、黒地に赤で印伝風の硬貨のような模様をプリントした小紋の羽織を裏返しにして着てきた。羽裏は黒地にオレンジと白で大きく花模様を絞ってあって、こちらのほうが派手だからである。洋服の上に羽織っていたが、似合っていた。写真を撮り忘れたのが悔やまれる。

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          この冬、着倒した感のある蝋たたきの紬に
          茶色に芥子色の細かい霰の羽織。

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          前帯は茶色、お太鼓部分で鉄(にび)がかった青磁色に
          分かれる染め帯。バッグと色をちょっと合わせてみた。

コンサートのプログラムは、フォーク・ソングというタイトル通り、ノルウェーやイギリスの古歌(13世紀や14世紀)がメインで、合間にここ10年のトリオのためのオリジナル曲が入る。いずれもタイトルを見ると、マリアを讃える内容の宗教的な古謡である。しかし、このくらい古くなると、抹香臭さよりも雅趣の方が強く感じられる。3人の澄んだ声で、現代的アレンジによる抜群のハーモニーで聞かせるから、瞑想的というより神秘的である。不協和音も美しく、あくまで印象は清清しい。
トースとマリアンに「女性版キングズ・シンガーズだから聴きに行こう」と銘打って誘ったのは、あながち見当ハズレではなかった。しかし、名人芸っぽくしないで、さらっとキレイに聞かせるのが女の心意気!という感じで、さりげない粋さでは、キングズ・シンガーズよりもずっと上で好感度抜群。

基本的にア・カペラの3声重唱だが、前半最後の2曲は、メロディック・ハンド・チャイムという楽器を手に伴奏(?)しながらだった。ミステリアスな雰囲気をより深めるため、舞台から降りて、客席の3方に分かれて演奏した。サラウンディング効果は抜群で、野鳥や動物の声を真似たような発声も入るので、まるでノルウェーの森の中にいるような気分になった。
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     一人2本ずつ手に持って振りながら歌う。高音のゴングみたいな音。
     残響が長く神秘的。(終演後、気になる楽器の名前をメンバーに訊いた)

もう1曲Fallingは、出来立てホヤホヤ、歌うのは今日が2回目というものだった。
ローリー・アンダーソン(!)の詩にアントニー・フィウマラという人が曲をつけたという。
歌詞は、I was looking for you, all day long. But I couldn't find youの繰り返しで、ゆっくりと即興的に歌われる。ゴングのようなチャイムに彩られたミニマルなメロディーは、心が締めつけられそうに美しい哀しみに満ちている。余韻と間が絶妙な秀曲で、思い出しただけで涙が出そうになる。
ローリー・アンダーソン作詞との説明を聞いて、びっくりした。というのは、このトリオの一人、赤毛の人がローリー・アンダーソンに似てるなあと思っていたからだ。
なにかローリー・アンダーソンと縁でもあるのかと気になり、終演後に訊いたら、何もないとのこと。作曲家が、アンダーソンと知り合いかもしれないとは言っていた。
「この曲が、とっても気に入りました」と感想を言ったら、メンバー全員、我が意を得たりとばかり「そうでしょう」と肯いていた。

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     終演後にサイン会。CDは買わずに、記念写真。ピンボケだが、
     気になることは質問でき、疑問も解けたので満足。


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ロビーには、オペラ・ザウドの昨年9月公演「ディドとアエネアス」の衣装が。ジャッキー・オナシス風のディドだったらしい。
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by didoregina | 2010-02-21 22:25 | コンサート | Comments(4)
Commented by REIKO at 2010-02-22 16:06 x
中世の曲って、多少素人っぽい歌や演奏の方が、リアリティがあって面白いと思っています。
中世アンサンブルは大雑把に言って、「さわやか系」「癒し系」「神秘系」「前衛系」「エスニック系」・・・に分類できると思いますが(もちろん混合型もアリ)、Trio Mediaevalは神秘系?
ハンド・チャイム(トーン・チャイム等の商品名のものと大体同じものみたいに見えますが)を使うのは、珍しいかもしれませんね。
日本では、音楽教育で取り入れてる学校があると思います。
ハンドベルの練習用に使ったりとか。
ハンドベルよりは楽器が安くて、扱いやすいのだと思います。
Commented by レイネ at 2010-02-22 17:23 x
REIKOさま、トリオ・ミディーヴァルは、さわやか系+癒し系+神秘系にほんのちょっぴり前衛系(ローリー・アンダーソンの影響)の混合タイプですね。
3人ともソプラノなんだけど、音域は結構広く、発声も明瞭なので、もやもやした瞑想系にはならないフォークなのが気に入りました。まあ、3人だけだし、複雑なポリフォニーではないし。技術的には高度な歌い方も入ってると思うのだけど、それはひけらかさずにさらりとキレイに歌うので、さわやか。日曜の午後にはぴったりのコンサートでした。
Commented by ろき at 2010-02-23 02:49 x
いくつか動画見てみました。
深い森になじむような、きれいなメロディですね~。
楽器も素朴で面白い。
終演後のサイン会もフレンドリーでいい感じ。
イギリスにもたまに来るみたいなので、いつか聴いてみたいです。
Commented by レイネ at 2010-02-23 05:39 x
ろきさま、彼女達、グラミー賞にノミネートされたそうですが、どういうカテゴリーなんだろうと思っちゃいます。
単なる癒し系の音楽とは違って、現代的な女の子の洒落た心意気が感じられ、白昼夢のような印象のコンサートでした。
イギリスで彼女らのライブを聴くチャンスがあったら、ぜひ行かれることをお勧めします。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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