不本意ながらカーニヴァル考

カーニヴァル期間中、マーストリヒトの人間は、人口統計上3つの区分に分類でき、その比率はほぼ同等で3分割できる。(地元の某旅行代理店の見解に基づく)

第一のグループは、カーニヴァルを毛嫌いして、オーストリアやスイスなどにスキー、もしくはカリブ海やカナリア諸島などに避寒に出かける。これらの人々は、金銭的に余裕があり、社会的地位および知的見地からも比較的上層部に属する。
第二のグループは、根っからのお祭好きの庶民階級である。年に一度の楽しみだと割り切り、この3日間のため貯めた金を衣装とお酒に湯水のようにつぎ込む。
第三のグループは、消極的にパレードなどを見物する側に回る。
第二、第三のグループには、観光客が大量に入り込み、空席になっている第一のグループの座を埋める形になるため、カーニヴァル期間中、マーストリヒトの総人口は普段と変わらない。

カーニヴァルというのは、日本人には基本的に理解できないものだと確信している。
パレードを見物しただけでは、阿波踊りを見物しただけみたいで、片手落ちもはなはだしいものだ。
参加したと豪語するには、仮装しただけでは弱すぎる。3日間、こちらのカフェからあちらのカフェに河岸を変えつつ、騒ぎ続ける気力がないといけない。カフェでは、ビールを飲み、カーニヴァルの歌にあわせて、知らない人とでも踊らなければいけない。この馬鹿騒ぎを3日間続け生き残った者のみ、カーニヴァルの正規参加者と認められるのである。

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            義弟の奥さんが作ったカーニヴァルのポスター。

人生の半分をオランダ南部、カーニヴァルの本拠地で過ごしてきたが、カーニヴァルに浮かれる人々の心理は未だ理解したとは言えない。
それで、本当ならカーニヴァルから逃げ出したかったのだが、不本意ながら、ドイツのラインランド地方の小さな町ケンペンのカーニヴァルに出かけた。義弟の奥さんの誕生パーティだったからだ。

ケンペンのカーニヴァルは、なんと3年に1度しか行われない。ドイツでは、ケルンなどライン川沿いの地方がカーニヴァルの本場だが、こういう小さな町では、毎年は祝われない、というのも不可思議である。
TVで見るラインランドのカーニヴァルは、山車も派手だが、度肝を抜かれるのは、ばら撒かれるお菓子の量だ。それを、今回、この小さな町でも実体験した。パレードに参加したグループは119で、それらが雨あられのごとく、駄菓子をばら撒くから、ダンボール一箱やショッピングバッグ一杯分は軽く集まる。ざっと見ても、消費するのに1年かかるんじゃないか、と思われるほどだ。

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         小さな町だから、パレード団体も規模がかなり小さい。
         見物人もパレード参加者も、体を内側から温めるため、
         外では、ジンやウィスキーなどの強い酒を飲みながらの我慢大会。
   
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         パレードのトリは、カーニヴァル・プリンス。
         この町には「プリンス・クッキー」で有名なLUの
         工場があるので、クッキーもどーんと一巻づつばら撒く。

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         マーストリヒトのように観光地でないのでカフェも少ないから、
         合間には、義弟の奥さん(アーチスト)のアトリエで飲み食い。

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         もちろん、着物で出かけた。
         雪がまた降って、零下2,3度だったが、
         重ね着したら、結構平気だった。
         ウールの紅型風着物に、黒地に漆で唐獅子牡丹の
         派手な絵の羽織。

着物の威力はまたしても絶大で、見物していたら、ギフト箱入りチョコレートをパレードの人から手渡された。これで、当分の間おやつには事欠かないだろう。

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         お約束のダンス。この人、かなりリードが上手だった。

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         ご当地のカーニヴァル菓子は、ベルリナーみたいな
         ジャム入り揚げパン。

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         オランダ南部のカーニヴァル菓子は、ノネフォッテン(尼さんのお尻)
         お土産代わりに手作りを持っていったら好評だった。
         
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         ノネフォッテンは、イースト入りの生地をリボン結びにした形が特徴。

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         二次発酵させてから、ラード入りの油で揚げるのがコツ。
         カラリとまわりはしっかり歯ごたえがあり、中はふんわり。
         狐色より濃い目にしっかり焼き色を付け、砂糖をまぶす。
      
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by didoregina | 2010-02-15 22:05 | 着物 | Comments(14)
Commented by アルチーナ at 2010-02-16 10:40 x
カーニヴァル、過酷そうですね・・・
地域が違っても揚げ菓子というのは、大量に作りやすいから?かしら・・
節制前の油という事も考えられるか・・??

DVDの件、了解しました。
4月、楽しみにしています!!
Commented by レイネ at 2010-02-16 16:56 x
以前お世話になっていた会社で、11月生まれが妙に多かったんです。(オランダでは、自分の誕生日には、ケーキを社内で配りアピールする)
なぜか、という疑問には「みんな、カーニヴァル・ベイビーよ」とのこと、旧暦で数えて10月10日(とつきとおか)後は、11月になるというわけ。

揚げ物のお菓子は、カーニヴァルの各地に名物があるようです。冬場で断食前でもあるので、高カロリー摂取が目的なんでしょうね。

4月中旬頃、なにかいいコンサートなどないかしら?
Commented by ロンドンの椿姫 at 2010-02-16 19:45 x
ヨーロッパ各地でこの時期にカーニバルがあるのを実は知りませんでした。ないのはイギリスくらい?断食もしません。
やっぱりカーニバルって騒ぐものですよね。観光化されてコスプレ大会になってるヴェニスのカーニバルは気味悪いくらい静かだったのですが。
このお着物、カーニバルらしく華やかで素敵です。私もヴェニスではなるべく派手な柄の着物を着ましたが、着物のお陰で写真を撮られる側にもなり、なんとなくカーニバルに参加している気分になれました。
なるほど、ドーナツを食べるのはそういうことですね。ヴェニスにもよく似たカーニバルのお菓子がありましたわ。では断食頑張って下さいね。
Commented by レイネ at 2010-02-17 03:44 x
ロンドンの椿姫さま、カーニヴァルはカトリックのお祭なので、オランダでも南部だけで祝います。アムステルダムなどではしません。しかし、バリバリのカトリックの国や地方ならどこでもあるかというと、そうでもなく、カーニヴァル分布図は偏ってますね。
こんな馬鹿騒ぎよりも、ヴェニスの華麗なカーニヴァルのほうにずっと憧れます。羨ましいわ。1度は行ってみたいものです。やっぱり日本人なら着物ですよね!姫も被写体になって、他人のブログに載ってるかもしれませんね。

断食は、ラマダンみたに厳格なことはなくて、キリストの受難を思いつつ、肉や甘いものを節制する程度ですが、とかく肉食に偏りがちな冬には、遵守すれば体にはいいと思います。

Commented by REIKO at 2010-02-17 11:53 x
オランダのカーニバルって、あまり知りませんでしたが・・・(日本ではほとんど報道されない?)まだ寒い中、楽しいイベントで盛り上がってるようですね。
着物でお菓子ゲット!は、日本人冥利に尽きる?
冬に着物を着てると「寒くない?」とよく聞かれますが、胴体グルグル巻き(笑)なので、むしろ洋服よりもずっと暖かですよね。
Commented by sarahoctavian at 2010-02-17 16:39 x
やっと終わりましたね~カーニバル。私も何年たってもレイネさんと同じ気持ちです。特にライン地方の人たちの入れ込み様は凄まじいものがありますよね。その点、日本のお祭り同好会(?)と似てるかも。そもそもあれはパーティやパレードに参加しないと、受身では全然面白くないだろうな・・・。「カーニバルだから楽しくしなきゃ」みたいなこと言われると「じゃあ他のシーズンは眉間に皺よせてるってわけ?」なんて思ってしまう天邪鬼な私です。
Commented by レイネ at 2010-02-17 17:02 x
REIKOさま、リオやヴェニスやニースやバーゼルなど、ヴィジュアル的特色のあるカーニヴァルは別として、土俗的祭りの基本である「信仰」と「浮かれ騒ぎ」がくっついただけのものですから、、、ベルギーのバンシュのカーニヴァルは、歴史的背景があり美しい伝統衣装なので、世界遺産登録されてるそうですが。

重ね着のできる着物は、冬には最高ですね。雪の残る戸外で立ちんぼは寒いかなと思ったら、そうでもありませんでした。わたしも、皆から「寒くない?」と訊かれたので、裾をめくって見せたりしました。手首から肘までがすーすーするから、次回は長手袋を確保しなきゃ。
Commented by レイネ at 2010-02-17 17:15 x
sarahoctavianさま、ヨーロッパでカーニヴァルの盛んな地方に長く住んでる日本人で、カーニヴァル好きって人は、まずいませんね。1,2回位なら、もの珍しくて楽しめるのかもしれませんが。
今年は、次男がなぜかカーニヴァルに燃えて、3日間毎晩町に繰り出してました。夜はパレードがないから、カフェやお祭会場のはしごで、明け方近くまで。。。

カーニヴァルは、阿波踊りみたいなものだから、同好会に加入して団体でパレード参加したら、楽しいのかもね。でも、11月11日から毎週のようにあるパーティ参加もきつそうだわ。ラインランドの実際のカーニヴァルまでのパーティの模様もTV放送されますが、アトラクション付きのオクトーバー・フェーストですね、あれは。
ところでオクトーバー・フェーストも、地元在住のsarahさんとしては、どうご覧になってますの?
Commented by sarahoctavian at 2010-02-17 23:27 x
オクトバーフェストもね・・・ここ数年年々騒ぎがエスカレートしてますよ。ハイソや企業絡みで座席予約が前々から入ってしまい、オマケに「世界のビール祭り」よろしく酒飲みお祭り好き観光客が押し寄せて、いったい地元民の入るスペースはどこだ?と言いたい。特に夜は全然行きたいと思わないわよ。自分のビール限界量を知らない観光客とか今時の若者がその辺に転がってるらしいし。市も州もこのお祭りを売り物にして収益上げてるんだから仕方ないんだけれどね~。
Commented by レイネ at 2010-02-18 00:15 x
sarahoctavianさま、やっぱりね。。。祭りならなんでも好きという友人がいて、9月はミュンヘン、11月からは毎週カーニヴァルのミーティングやパーティ、カーニヴァル本番はパレード参加と、秋冬中、飲み騒いでます。彼によると、ミュンヘンでは、朝から特大ジョッキのビールで、さすがに度肝を抜かれたとのこと。彼の肝いりによるのか、こちらでも数年前からオクトーバー・フェーストが始まりました。。。

ベルギーでは、カーニヴァルと復活祭の中間に、Half fastというのがあり、駄目押しでもう一度、断食期間が半分終わったのを祝います。これが全くカーニヴァルの繰り返しで。。。

ミュンヘンでは来週から、「受難曲」コンサート・シリーズが始まりますね。ゲネプロ、ゲネプロとお題目を唱えてますので、よろしく。
Commented by Mev at 2010-02-18 00:55 x
そうでしたね、カーニヴァルの時期でした。去年は私も次男とマーストリヒトに見にいったんでした。 見物は結構楽しかったですよ!全く違う文化ですから、珍しくて。 カトリックのお祭りとはいえ、参加している人はとうてい宗教とは関係なさそうでしたよね~。 (もっとも、文化的にカトリックのほうが派手だし贅沢だし美食家ですよねー。ピューリタンの血をひく英国とかオランダ北部はめちゃくちゃ質素倹約な文化だと思います)
ああ、日本で似たような感じのお祭りは博多山笠かなあ。この日のために1年かけて準備したり体鍛えたりするわけですから。山笠の男衆だったらカーニヴァルの意気込みを理解するでしょう。
Commented by レイネ at 2010-02-18 04:37 x
Mevさま、一度は経験すべきカーニヴァルですが、それでもう分かった、自分とは合わない、となるか、ハマルかですね。
地元でも、カーニヴァルとカトリックとを直結して考える人はあまりいないかもしれませんが、それは、当たり前の年中行事化してるからでしょう。

日本でも、若い頃はお祭なんか大嫌いだったけど、江戸っ子系のお祭はいいなあ、と12,3年まえから思えるようになりました。三社祭なんかも、終わったら即、翌年の準備にかかるみたいです。
日本の祭りは、統制がとれ、そろいの法被姿もいいし、緊張感とすがすがしさがありますね。カーニヴァルは騒々しいだけで、粋とか意気ごみが欠けてるから、好きになれないんだと思う。
Commented by alice at 2010-02-18 17:10 x
当地はカーニヴァルではありませんが、雪祭りが大々的に催されます。
先週終わりましたが・・・もう何年も観にいってません。(汗)

今年はシバレが厳しく、雪像もピシッと美しかったようで、昨年より見物客が多かったそうです。ほとんどが観光客で、中国からのお客さんが倍増したとか。

ブログのねたがないし、カメラ持って出かけようとは思いましたが・・・この寒さ(最高でマイナス3~9)に負けました。
ふがいない道産子です。
Commented by レイネ at 2010-02-18 18:34 x
aliceさま、札幌の雪祭り、一度見たいものです。中国、ロシア、オーストラリアなどからの観光客が増えているようですね。大通りとかススキノなんて、賑やかなんでしょうか。
でも、シバレルのはだめだわ。あまり寒いと、カメラがヘンになりませんか?暖めつつ使わないと。

札幌といえば、時節柄、思い出すのは冬季オリンピックですね。高揚した気分を覚えています。それから、トワエモワの歌とか、ジャネット・リンとか。。。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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