シュトラウスのオペレッタ 「ジプシー男爵」

c0188818_1824111.jpg2010年2月5日
@Stadsschouwburg Sittard

Muzikale leiding: Pieter Cox
Regie: Marc Krone
Choreografie: Thao Nguyen
Decor: Karel Spanhak
Kostuums: Marrit van der Burgt


Solisten:
Barinkay - Andreas Schagerl
Saffi - Christina Khosrowi / Maartje Rammeloo
Homonay - Dieter Goffing
Zsupan - Bert Simhoffer
Arsena - Svea Johnsen
Cszipra - Rita Lucia Schneider
Mirabella - Daniella Buijck
Ottokar - Rik van de Rijdt
Conte Canero – Stan Lambregts

招待券を頂いたので、オペレッタを観にいった。
カーニヴァル前の能天気な賑やかさにふさわしい演目である。
NRC新聞に載ったカスパー・ヤンセンの評も、非常に好意的だから期待が持てた。
会場の駐車場に入るのが、まず大変だった。車の列が尋常になく長い。
招待客が多いだろうし、チャーター・バスで来ているオペレッタ愛好家と思しき団体もいるせいか、会場は満員御礼の盛況だ。

東欧、ドイツ、オランダ、オーストリアからの歌手やダンサーを寄せ集めた団体、国際オペラ制作基金というのが数年前設立され、地方都市にオペラ巡業を行っている。演目は大概誰にでもウケがいい超有名オペラで、演出はヒネリがなくストレートで、舞台装置は冴えない、というのが、お決まりパターンであるから、見に行こうという気にはまずなれない。しかし、招待となれば話は別である。話の種にもなるかもしれないから、シュトラウスのオペレッタに出かけてみた。

ドサまわり団体の宿命であるから、舞台装置には大掛かりなものは持ってこれない。しかし、バルコニーのある塔のような建物を左右に配置し、背後に数段高くした台だけを置くという、これは、まあ、思った以上にチープでシンプルである。
コスチュームは、ジプシーはそれらしい普段着で、金持ちはまたそれらしく、軍隊はまたそのものの制服で、ファンタジーは微塵もみられない。とにかく、コストを極限まで抑えた結果だろうからグチっても仕方がない。

オケは、ウクライナから連れてきたようである。なかなかに、ウィーン風のワルツなど、地方の老人ウケのいいムードで演奏している。しょっぱなから、おなじみのメロディーが次々と流れるから、周りから鼻歌が聞こえてくる。立ち上がってワルツを踊りだす人が出るんじゃないかと期待したが、アンドレ・リューのコンサートのようなノリにはならなかったのが残念。

歌手は、予想通り、けっこう上手い。若手がこれだけ揃っているというのが、いかにも東欧系らしい。
自国ではチャンスがなく、なかなか芽の出ない人たちがいっぱいいそうだから、そういう人をかき集めたら安くいい人材が得られる。
特に、コーラスとダンサーに若手を揃えたところがいい。舞台が華やぐし、演技や踊りもバシッと決まり、舞台装置の安っぽさを帳消しにしてくれる。
振り付けも、難解なモダン・ダンスではなく、ブレーク・ダンスみたいなのが主体で、ヒップホップ風コサックの踊りなど、観ていて楽しい。

主役級も文句なく、自慢の喉を聞かせてくれた。
ストーリーは単純でたわいもないもので、ハッピーエンドはお約束だから、演出もストレートに行くしかないだろう。時事問題など、小難しいものを読み取るのは不可能である。それでいいのだ。
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しかし、何も考えさせるものがないから、レビューを書く材料が見つからない。
後に何も残らない、余韻も何もない、もちろん、また見たいという気にもならない。
一晩限りの楽しみに、ぱっといい気分になってお仕舞いである。

ここの市民劇場で、スポンサーのパーティに招待されたのは、これで3度目である。
一般フォアイエより、招待客用の特別室のほうが広い、というところが、まず問題だ。
幕間には、飲み物のほか、カルパッチオのつまみが出た。
終演後は、ビュッフェ式ではなく、小皿に乗せたコース料理が配られた。ティラピアのソテーの乗っかったギリシャ風リゾット(クリーミーで美味しかった)、オッソブッコにポテトと赤キャベツのピューレ添え、チーズ各種は自分で好きなだけ取れ、デザートはアイスクリームのパンケーキ包み、温かいチェリー・ソースかけであった。

この手の文化活動にスポンサーとして招待されるのは、これで最後だと主人が言うから、そうだろうな、このご時世に、と納得した。社交を兼ねた地方文化振興という名目ではあるが、お金が掛かり過ぎである。無駄遣いとは言うまいが。
職場から10人が招待された。当日17時近くになって2枚チケットが余っていることがわかったが、金曜の夜だから急にいける人が見つかるわけがない。義母を誘ったら、大喜びでついて来た。ストレートなオペレッタを堪能し、パーティでもおしゃべりに花を咲かせ、心から楽しんだようだ。

着ていく着物には迷ったが、柔らかものの訪問着にした。これが大正解。
演目のせいか、かなりドレッシーでシックな服装の人が多かった。
知らない人からも口々に賞賛を浴びた。
スタイリッシュな白の毛皮のジャケット姿で、全身ホワイトで決めた70才台のソニア・リキエルみたいなマダムが、わざわざ近づいてきて、「オランダ語話せます?素晴らしいお召し物だわ。褒めずにはいられません」などと、言うのだった。

c0188818_19111515.jpg

               白に近い薄い灰紫色に
               扇と草花の蘇州刺繍が
               レースのように刺してある。
               母のを直さずに着たので
               裄が短すぎる。
               帯はラメが煌びやかな紫の濃淡。
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by didoregina | 2010-02-07 11:22 | オペラ実演 | Comments(6)
Commented by sarahoctavian at 2010-02-07 22:00 x
カーニバルもクライマックスを迎えた時期に相応しいですよね。何を隠そう、私も今度の土曜日に「こうもり」観にいくの~。オペレッタを生で見たことなかったし、この季節にピッタリだし(といっても、個人的にカーニバルには興味ゼロだけど)。皆さん楽しい格好して来るのかどうか・・?ちょっと興味津々。そりゃあもちろんレイネさんのように素敵なお召し物があったら最高ですね。
あ、それから前回の記事に関して:アレクサンドラちゃんのコスチューム物は例えばテレビ映画ですが、こんなのがあります→www.amazon.de/Wunschbaum-DVDs-Alexandra-Maria-Lara/dp/B0001ARE1C 最近コッポラ御大の「胡蝶の夢」にも主演してたはずで、見たいな。「愛を読む人」にもちょっとだけ顔を出してたけど、キラリと光ってましたわぁ。
Commented by レイネ at 2010-02-08 04:37 x
sarahoctavianさま、今日は子供カーニバルのパレードでした。わたしは家にいてTVで観ただけ。家族は皆マルクト広場まで出かけましたが。来週末は、ドイツの義弟の所のカーニバル見物に行きます。彼の奥さんのお誕生パーティを兼ねるので、、、、

そちらでは、これからもオペラ観劇予定が目白押しですね。
わたしも、マレーナ様の「イドメネオ」@モネ劇場、舞台に近い席が取れました!マレーナ様のサイトでは、しつこく発売のお知らせしてるのに、それほど熾烈な争いではなかったので。

アレックスちゃん、これから注目します!
Commented by Mev at 2010-02-08 20:11 x
オペレッタはお手軽で楽しいですよね~。むかーし、日本で義母とふたりでこうもりを見に行きました。そういえば。
もう、カーニバルの時期ですね。でも日本ではバレンタイン一色で、どこへいっても「高級チョコ」のブースだらけです。あと手作りチョコキットとやらで、チョコレートと型などをかわいくラップして売っていたりして。「あんなの溶かして固めただけなのに手作りと言えるか」と、長男があきれていました。もらえない人のやっかみもあるのかもしれないけど、私も同感。
Commented by レイネ at 2010-02-08 21:18 x
Mevさま、タダで招待券もらったもので、アタリ!といえるものにめぐり会えることはまれですね。やはり、自分で選んだ演目を、自分でお金払って、真剣勝負で鑑賞しないとダメだわ。

ヴァレンタイン=チョコを贈る日って図式がないのがいいです、こちらでは。義理で贈り物をしてもらっても、ロクな物じゃないから、ありがたく感じられないし。なんでもない日に、さりげないものを贈られると、個人的な思いが感じられ、ずっとうれしいですよね。
Commented by straycat at 2010-02-09 09:59 x
オペレッタは新国立でこうもりを見ましたが、私的には中途半端という感じが・・歌手に演技力があり、演出も洒落てるものだったらもうちょっと違ったかもしれませんが。まあ、オペレッタは何も残らないのを目的としているのかも知れませんが。

お着物もっとアップで見たい。帯のグラデーションもどんな風かしら?
外国の方ってこういうシックな物でも良さを分かってくれるんですね、画像だとただの一色に見えますが、刺繍に立体感と贅沢感があって実物はもっと存在感があるんでしょうね。私は染めの分かりやすいものが海外受けするのかと思ってました。
Commented by レイネ at 2010-02-09 16:35 x
straycatさま、「こうもり」なら、いろいろな演出(マレーナ様がオルロフスキー役のグラインドボーン版とか)ができるのは、作品自体の出来がいいからでしょうか。「ジプシー男爵」も、素材としては悪くないと思うのですが。

前回は、ビュッフェ形式の立食だったのでポリ着物にしました。そのとき、有名な宝飾店のオーナー兼彫金デザイナーの方と並びあわせ、おしゃべりしました。彼女は毎年日本に真珠の買い付けに行き、ミキモトのパール・デザイン・コンクールで入賞したり、日本の文化に詳しく、服装も赤の毛皮のゴージャスなスタイルでスタイリッシュ。変な着物と帯を着てきたのは、失敗だと感じました。
今回は、オペレッタなので、華やかに装いました。そうしたら、パリス・ヒルトンばりのセレブのマダムがつかつかと近づいて、着物を褒めてくれたんです。白の毛皮姿で、生きてるバービー人形みたいで目立ってる彼女だから、褒め返しました。
外国で着物を着るのは、究極の自己満足なんですが、ファッション・センスを披露するチャンスだから、一般ウケを狙うより、オペラやコンサートやパーティに必ずいる美的感覚の優れた人のおメガネにかなうようにしたいと思ってます。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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