モダン建築のパリ

パリ2日目は、朝食後すぐ、エッフェル塔に向かった。
子連れでパリに来るのは5年ぶり。夫婦連れでは、2年前に夫がパリ・マラソンに参加したとき以来だ。
観光客は高いところに登るのが好きだ。エッフェル塔には、27年前と7年前に、2回登っている。本当は、一生に1度登れば、もういい。
セーヌ川の反対側、シャイヨー宮から臨むエッフェル塔は、眺めとして格別だ。

シャイヨー宮には、2年前に新しい博物館が出来た。元々は、歴史的建造物やそれに付随する彫刻および壁画のコピーを集めた博物館だったものが、建築・遺産博物館としてリニューアルしたものだ。
長男は、工科大学で建築を学びたいと言っているから、親としての教育的見地から、ここを訪問するのは悪くないと思った。
しかし、本当の目的は、実は別にあった。この博物館内のカフェからは、エッフェル塔が真近にほとんどパーフェクトな姿で臨め、そして空いているという穴場なのだ。
c0188818_437035.jpg

      博物館のチケットを買わなくてもカフェは利用できる。

実際、ここくらいではないだろうか、パリの美術館・博物館で列に並ばずに入場できるのは。。。
穴場、というより、もともと普通の観光客にはほとんど縁のない博物館であろう。歴史的建造物のコピーを展示する博物館だから、美術史を勉強する学生以外が訪問しても、メリットはあまりないのだ。
逆に言うと、ここのメリットは、実物大のコピーを真近に見ることが出来るから、お勉強のために足の便の悪い現地にわざわざ出かける必要がない。しかも、天候(太陽光線)に影響されずに、双眼鏡や鏡がなくても細部が見える。(25-27年前には、車を持ってなくて、近くまで行きながらバスがなくて訪問を諦めたり、電車の時間の都合で見学できなかった所がけっこうあった)
しかし、実物を現地で見るに越したことはないし、模造物はいくら上手く出来ていても、感動できない。
c0188818_4445372.jpg

      時代別に、おなじみのもののコピーが展示されている。

また、一体どんな目的で、どうやってコピーを作ったのか、と湧いてくる疑問には、様々なヴィデオや説明が答えてくれる。展示物よりも、そちらのほうが、実は相当面白かった。思ったとおり、シリコンやギプスで型を取って、石膏を流し込んで作ったものだったが、その手順をヴィデオで詳しく説明してくれる。


そして上階が、現代建築の新しい博物館となっている。こちらが今はメインだし、見ごたえがあった。
一口に現代、といっても千差万別、様々な建築物の模型や設計図、写真やインターアクティブの説明が展示されている。パリにもいろいろあるし、つい昨日、中まで入ったのにその設計の妙に気がつかなかった建物もある。(例:シャンゼリゼのシトロエンのショールーム)

ヨーロッパの主要画期的公営集合住宅の特別展が面白かったし、常設で一番の見所は、ル・コルビュジエ設計でマルセイユに建てられた集合住宅ユニテ・ダビタシオンの一戸を再現したものだ。
c0188818_5422728.jpg

c0188818_594649.jpg

インタリアもそっくりそのまま、原寸大で作ったものが設置されているから、中まで入って戸棚や本棚やヴェランダやドアや電気スイッチなど、細部まで見て触ることが出来る。
シャイヨー宮近くにあるル・コルビュジエ設計の私邸が博物館になっているが、クリスマスとお正月の間は閉館しているから、その代わりにこれが見られて満足した。

雨模様の冬の日は、誰しも美術館の中で過ごしたいものだ。だから、ルーヴルもオルセーも、信じられない長蛇の列になっていて、ざっと見ても入場待ちは半日くらいかかりそうだった。
ポンピドー・センターまで歩いてしまった。ここにも列はあったが、10分くらいのものだ。
地下でVIA (Valorisarion de L'Innovation dans L'Ameublement)の家具デザインの30年展をしていた。80、90、2000年代の錚々たるデザイナーによるフランス家具のプロトタイプ展示だ。
一番気に入ったのは、Elisabeth Ganousteと Mattia Bonettiによる Hiro-Hito Chair
(1989)。
c0188818_524023.jpg

       背もたれの高いオークの椅子。
       体の触れる前面は金色。

c0188818_5252984.jpg

       それ以外は木地で、背もたれの後ろは
       お箸のモチーフ。


翌日は、セーヌ左岸のアラブ世界研究所の屋上テラスからパリを(タダで)眺め、南面ファサードを覆い尽くす幾何学的イスラム・モチーフの遮光システムを真近で見てから、ラ・デファンスに行って、現代建築を堪能した。
c0188818_5294769.jpg

       ラ・デファンスの新凱旋門の下で。
[PR]
by didoregina | 2010-01-02 21:43 | 旅行 | Comments(6)
Commented by ロンドンの椿姫 at 2010-01-03 07:52 x
パリは何度行っても見るものがあっていいですよね。でも、クリスマス後はロンドンも大変な人出だったらしいのですが、パリも同じなんですね。
bonnjourさんも私も上ったアラブ世界研究所に行かれたのこと、ここはさすがに空いてたでしょう? パリを見下ろすには本当に良い穴場で、パリに行く人知り合いに勧めています。
コピーの展示はロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にもあるのですが、私結構好きです。仰る通り細かい部分が見えますしね。簡単には旅行できなかった時代の人にとっては貴重なものだったに違いないです。
Commented by アルチーナ at 2010-01-03 08:34 x
コルビジェのロンシャンの教会は学生時代に見に行きましたが、
ユニテ・ダビタシオンの再現が見られるこの博物館、いいですね。行ってみたいです・・いつになるかワカリマセンが・・
それにしても・・学生時代も不真面目だったのですが、今はずーーっと遠ざかってしまっているので全くワカラナイ・・・
また興味を持って色々と見ないとな・・と思いました。

去年はお会いできて本当に楽しかったです。
今年も宜しくお願い申し上げます!!
Commented by レイネ at 2010-01-03 23:34 x
ロンドンの椿姫さま、東京から行ったらびっくりするほどの人ごみでもないでしょうが、ヨーロッパの地方都市からのおのぼりさんには、信じられない混雑と列。
アラブ世界研究所では、わたし達が、当日、屋上テラス入場一番乗りでした。ルーヴルなんて、本当に中に入るまでに半日はかかりそうな、とんでもない長蛇だったのにびっくり。

フランスでは、ラスコー洞窟の精密なコピーに驚いたことがありますが、石の建築物のコピーは、やっぱり質感が微妙に頼りないのが難です。
Commented by レイネ at 2010-01-03 23:43 x
アルチーナさま、日本にもル・コルビュジエ設計の建物があるんですね。(国立西洋美術館とか) そして、地方各地にも、なかなか凄い建築物がありますね。(レンゾ・ピアノの関空とか、安藤忠雄のとか)
建築の勉強は面白そうなんですが、この不況下、卒業後の就職難が目に見えてるので、親としては、子供の進路に不安が。。。

ブログ・オフ会は、盛り上がりましたね。お会いできて、個人的にお話ができて、とても楽しかったです。
こちらこそ、今年もよろしく。
Commented by Mev at 2010-01-04 00:28 x
パリのお正月なのですね!うらやましい!

建築・遺産博物館、建築学科に進まれようとしているご子息は刺激を受けられたのでは?

我が家は日本人一家ですが、やっぱり、倹約旅行です。宿に贅沢するときは交通手段をものすごく倹約。3食のうち1食だけは力を入れて、あとは地元で一番安い店を物色します~。そういう倹約方法検索が、また楽しかったりするのです!!よね?

Commented by レイネ at 2010-01-04 01:07 x
Mevさま、パリからは大晦日の夕方に帰ってきました。家からだと車で4時間、リエージュから出てるタリス利用ならもっと速いから、行こうと思えばいつでも行けるパリですが、家族連れだとちょっと考えちゃいます。皆の要望に合う所を探すのが、結構難しくて。

そうそう、お金をかけたいものにはぱっと使って、あとは最小限で我慢、というのがわたし達の旅のパターン。
ロンドンは美術館がタダだけど、パリは大人料金は結構高いんです。教会まで入場料とるから、パンテオンは子供だけで見ておいで(18歳未満はどこもタダ)、と入れようとしたら、親の付き添いなしでは入場不可ですって。15歳と17歳なんだから、親なんて付いてなくてもいいじゃないよね。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2017年 08月
2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧