お寒いEvolution

Corpus Acrobatic というダンス集団による新作Evolutionを観た。
春に観たニューヨークのダンス集団ピロボロスの公演同様、主人の仕事関係で招待されたからだ。

アムステルダムのこのアクロバット・ダンス集団の公演は、ダーウィン・イヤーにちなんだタイトルを冠したものだ。
宇宙の生成から、地球での生命誕生、生物の進化という過程を、かなり写実的な舞台映像とアクロバティックなダンスで表現していく、という構成だった。
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例えば、映画「地球に落ちてきた男」の宇宙人みたいな格好のダンサーが、ダ・ヴィンチの人体像のようにワッカの中で回転する。その背景には、ディスカヴァリー・チャンネルかなにかのような、宇宙の誕生から銀河系、太陽系の生成がコンピューター・グラフィックが映し出される。
地球が大写しになると、舞台では布を波状に動かすことで海を表現。生物が誕生してからは「ミクロの決死隊」みたいな雰囲気になる。それ以後、生物の形態が様々な動物に進化・変化していくのを、写実的動物ダンスで見せる。

しかし、トータルな思考の根底が浅いため、「進化」の表現方法が、まるで、中学生か高校生が考えそうなステレオタイプのイメージのレベルだった。実際、高校時代にダンス・エクスプレッションの授業で創作したものを思い出してしまった。もちろん、プロのアクロバット・ダンス自体は見ものであったが、振り付けや演出・構成が、唖然とするほど稚拙である。テーマの掘り下げがまるで感じられないから、見世物としては楽しいが、それだけだった。
コンセプト作りが弱いから、いつ破綻するのかとはらはらしつつ、どういう風に結末に持っていくんだろうと、最後には同情を伴う好奇心を持って臨んだ。
巨大な空気人形の人間の胎児の像が膨らんで天に昇っていったのがラストだった。これが進化の終点だという意味なんだろう。

自分でお金を出しては絶対にチケットを買わないタイプの公演に招待され、ビュッフェ形式の食事も出たから、ありがたいことだと感謝はした。しかし、見世物的でほとんど何も心に残らないものを見せられると、こういうことに企業その他がスポンサーとしてお金を使うことの意味を考えざるを得ない。というのも、劇場の階上のパーティ会場に集まった人数をざっとみても、観客の半数以上で、この招待客がいなければ公演は成立しなかっただろうと思われるからだ。それらの招待客は、様々な職場ごとに決められたテーブルに陣取り、仲間内で談笑するだけで、多分本来の目的であるネットワーク作りにはほとんど関心を示さなかった。民がスポンサーとなる芸術振興活動のお寒い実態を見せつけられた思いがする。

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   立食形式なので、汚れても洗えるポリエステルの着物にした。
   ポリ着物はこれ一着のみ。ネットで5000円弱だった。
   形は着物だが、ふわふわと頼りなく、絹の着物を纏った時のような
   気分の高揚が感じられない。
   帯は、アンチックで短かったから、2部式に作り変えた。
   着物の模様は、蔦紅葉。帯にも紅葉などが織り込まれているから、
   季節的にはあっている。
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by didoregina | 2009-11-18 22:34 | ダンス | Comments(10)
Commented by Mev at 2009-11-19 20:58 x
えー?5000円の着物なんてあるんですか? そうは見えませんよー。 洗濯できてお食事も安心、いいですね!
ダンスは、、、、残念でしたね。
Commented by レイネ at 2009-11-19 21:24 x
Mevさま、雨の日用に、濡れても汚れても洗える着物が欲しいなと、思ったんです。一応デザイナーズ・ブランドものみたいです。これ着ると、煮込み料理で茶色い汁のものでも食べられますが、着物を着ているという感覚がなくなり、脚なんか組んじゃいます。。。

ポリエステル反物のワゴンセールで、一反4950円というのを、里帰り中に見つけました。もうポリ着物はこりごりですが、ちりよけにはいいのではないかと思って、道中着に仕立ててもらいました。単衣で多分ミシン使用なので、仕立て代1万円。計15000円弱で、自分サイズの、レインコートを兼ねたちりよけができたんです。仕立てあがった写真がメールで送られて来ましたが、実物はまだ手元にはありません。
Commented by アルチーナ at 2009-11-20 09:54 x
こちらは政権が交代してムダの見直しをしているのですが、新国立劇場もその対象になっているんですよ・・どうなる事やら見守るしかないですが・・収益を上げるために有名なオペラしか上演しない、なんて事の無いように祈ります。
それにしても本当の芸術なのか本人だけが芸術と思っているだけなのか・・・を見極める目がお金を出す側には必要ですよね。
Commented by レイネ at 2009-11-20 21:00 x
アルチーナさま、蓼食う虫も好き好きなので、他人様のシュミに口出しするのは、本来控えるべきなんですが、芸術を見極めるための確固たる基準は存在するはずですよね。

オーディが芸術監督になってから、DNOは意欲的に現代ものやマイナーなオペラも満遍なく取り上げて、しかもチケットの売れ行きも上々というわけで、その点が買われてホランド・フェスティヴァルの芸術監督も兼任し、先日のフェルメール賞受賞に繋がったのは、オランダのオペラ界にとって非常に喜ばしいことです。
フェルメール賞のサイトから、その諮問機関であるブックマンという団体の活動内容や識者の意見・ディスカッションが閲覧できます。(英語ページもあり。)結構長いレポートもありますが、それらを読んで、なるほどと膝を打ちました。
しかし、オランダでも昨今、芸術助成金に関する大手諮問機関の見方には、なかなか賛成できない面もあり、色々考えさせられます。
Commented by REIKO at 2009-11-21 00:27 x
うわ~!いつもと違って大胆な柄・・・と思ったら、ポリでしたか。
でもポリは、どうせなら派手な色柄の方がいいって聞きますね。
渋い色や、地味でもいいものって、やはり絹じゃないと無理っぽいようです。
立食は、着物のたもとが邪魔になりがちなので、万一汚れても大丈夫なポリの方が、美味しく食べられますね。
Commented by レイネ at 2009-11-21 04:14 x
REIKOさま、この蔦の色が、煮しめたような濁ったトーンで、実物はすごく安っぽいです。コッコ・オ・ヴァン食べる時に汁が飛び散っても大丈夫、みたいな。
そういえば、チーズのビュッフェ・テーブルでも、袂を気にせずにあれこれ選べました。

上野の韓国料理店では、不織布のエプロンがよろしかったですね。それでも、着物が汚れるのが気になって、食べる姿勢がよくなかったなあ、と反省してます。

洗える着物なら、化繊より木綿やウールのほうが、着物を着てる気がするから、ずっといいなあ、と思います。
Commented by Deborah at 2009-11-22 20:58 x
お写真を拝見いたしました。
お美しいお後姿に、うっとりです。
次は、ぜひ、絹のお着物姿で、美を、着飾っていただけますように~☆
Commented by ロンドンの椿姫 at 2009-11-22 22:38 x
レイネさんには珍しい大柄、と思ったら、なるほどポリでしたか。
私は悪天候や飲食イベントの時によくポリの着物を着ますが、仰る通り気分的に悲しいものがあります。そういう時は帯を豪華にするとかして(雨や飲み物で帯が汚れることはまずないでしょうから)、着物ならではの特別気分を味わえるようにしてます。
でも、汚れても平気という安心感は侮れませんよね。それにポリ着物でも高価なものはそれなりにゴージャス感もあり、そういうのが海外では一番「役に立つ」かもしれません。
Commented by レイネ at 2009-11-23 03:54 x
Deborahさま、手持ちの着物はほとんどが絹なんですが、出かける場所によっては、洗えるものが重宝なのです。
来週は、火曜日にアイントホーフェンへ、土曜日はピアノの先生とヴァイオリンのハンスのコンサートがお城でありますから、ちゃんと絹の着物で出かけます。
オランダ・ベルギーで電車でのお出かけだったら、着物は着る気がしません。座るだけで汚れそう。
Commented by レイネ at 2009-11-23 04:05 x
ロンドンの椿姫さま、わたしは、洗える着物なら、ポリよりはウールか木綿のほうを選びます。
たしかに、高価なポリエステルの着物は、絹に遜色ない色と手触りですよね。でもその分、お値段も高いので。。。着心地との兼ね合いでも、木綿が上。

しかし、着物のお出かけで、飲食しなかったことは一度もなかったけど、汚したこともまだありません。それなりに気を使うのでしょうね。ただ、自分でいくら気をつけても、他人の飲み物や食べもので汚されたら泣きますから、そういう時はポリですね。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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性別:女性
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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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