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帯を主役に

義妹の50歳バースデー・パーティに出掛けた。
かなり広い彼女の家のサロンと食堂と玄関ホールから家具を取っ払い、テラスにパーティー用テントも立てて空間を繋げた。自宅に大人数を招いてのパーティーの場合、こういう風に広いスペースを確保し、レンタルした立食用のテーブルをいくつか設置するというのがよくあるパターンだ。

50歳という節目は非常に大切なもので、盛大に祝うのが通例である。ここ1、2年この手のパーティに招かれる機会が多い。友人も皆大体そういう年齢になっているからだ。
義妹は、仕事関係、大学時代からの友人、ご近所、兄弟など総勢80人ほどを招き、飲食は全てケータリング会社に任せた。入り口でコートなどを預かったり、シャンペンその他の飲み物サーヴィスから、つまみや食事など、雇った給仕3人くらいがどんどん捌いていく。ケータリングのコックもキッチンに待機しているから、お誕生日の本人は気兼ねなく招待客と歓談、飲食し踊りまくれる。

何を着ていくかに悩むのが、毎度ながら楽しい。
あまり派手な着物で浮いてしまうのは困るから、葡萄の蔦葉とほんのり色がついた葡萄の房を細かく織り出した、秋らしく渋い泥大島にした。

帯を主役に_c0188818_1845680.jpg

この着物は、日本で秋に着たら、とっても映えると思う。控えめなよさが分かってもらえるからだ。
しかしヨーロッパでは、この色の大島は地味すぎる。これは、帯で華美を補わなければならない。
そこで、光る素材の洒落袋帯にすることにした。塩瀬や縮緬やざっくりした織の帯では、普段着っぽく見えて、きらびやかな場には不釣合いである。
泥茶色の地の着物柄に、ほんの少しグリーンと淡い柿の色が入っているから、鮮やかな鶯色とミント・グリーンの中間のような光る帯にした。帯揚げも薄い柿色で、抹茶色の帯締めにも一部パステルカラーが入っているものにした。

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     お太鼓に、北斎の富嶽三十六景から「駿州江尻」を写した刺繍。

この帯は、はっきり言って、パーティの雰囲気にしっくりキマッタ。控えめな刺繍だが、描き出される柄がグラフィックな浮世絵の写しである。アーティであり、ジャパネスクでもある。

帯を主役に_c0188818_18572230.jpg

            刺繍の元絵の版画

この帯は、先月日本から持ち帰ったものだ。例によって母の箪笥の中から。渋派手(死語か?)で、趣味性が高く、ヨーロッパでは絶対に見栄えがいい、と思った通りだった。
しかし、帯には一度も締めた形跡がないので、着付けるのが大変だった。しかも、関西巻きで、普段とは逆向きに回さなければならないので、四苦八苦。

以前、やはり母の箪笥の中から、昭和初期のものと思しいアンティークの黒い繻子の帯を見つけた。黒地に原色の色鮮やかな刺繍で、御所車や蔦葉が縫い出されている。
まだ着物を着始めたばかりで、目が肥えていなかったので、これは面白いと思い、即貰った。母は、インテリアに利用するつもりだったのだが、わたしが着るなら譲ってくれると言う。
アンティーク風の色柄のポリエステル着物(わたしが初めて自分で買った着物。見る目がなかったと今では後悔している)に合わせた。昔の帯なので巾も長さも短く、普通には着られないので、着付けの先生に教わった器具とテクニックで何とか着てみた。しかし、地厚で重く、着ていてくたびれた。
それ以後、一度も着ていない。
その帯は、インテリア向けで、今時着るものではないのだと悟った。それなら、バッグに作り変えよう。
帯を主役に_c0188818_19114295.jpg

       まずは、タレ先部分を利用して、クラッチバッグを作った。

そのままだと、純和風でダサい。和装バッグは本当に垢抜けないものが多くて、持つ気がしないので、普段は着物を着てもカクテル・バッグを持つ。
ちょっとポップな雰囲気を強調するために、組紐状のシルク・コードで回りを囲みそのまま持ち手にした。これで、カクテル・バッグらしくなった。
お太鼓部分は、そっくり残っているので、また別の大きめバッグに作り変えようと思う。
by didoregina | 2009-10-19 12:26 | 着物


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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