アリオダンテ@東京藝術大学奏楽堂

アルチーナさん、さわやか革命さん、Mevさんがすでにお書きになっているし、いまさら記事にするのもどうか、とも思うが、一応、忘れないうちに(もう忘れそうだが)書いておこう。

c0188818_2010668.jpg2009年9月13日@藝大奏楽堂
指揮 鈴木雅明
演出 平尾力哉

舞台監督 賀川祐之
古典舞踏 市瀬陽子
声楽統括 多田羅迪夫

出演 スコットランド王:新見準平
アリオダンテ:小野和歌子
ジネヴラ:朴 瑛実
ルルカーニオ:吉原教夫
ポリネッソ:彌勒忠史
ダリンダ:松原典子
オドアルド:加耒 徹

合唱 東京藝術大学声楽科有志
管弦楽 東京藝術大学古楽オーケストラ
 バロック・ヴァイオリン:若松夏美
 バロック・チェロ:鈴木秀美
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:福澤 宏
 フラウト・トラヴェルソ:前田りり子
 オーボエ:三宮正満
 チェンバロ/オルガン:大塚直哉 ほか

主要歌手の半分はプロだし、器楽演奏にも、藝大教授や講師である日本古楽界の錚々たる面々が混じり、指揮は鈴木雅明氏だから、学内発表会というレヴェルでは、全くない。

コンサート・オペラといいながら、簡単な舞台背景や装置があり、照明は舞台効果を考えた使い方がなされている。歌手の衣装も、役に合った、しかし多分自前で用意した私服だろうと思わせるもので、それがかえって学芸会風な印象を与えた。
もうひとつ中途半端だったのは、舞台に立ててある譜面台で、合唱の学生が、主要アリアのつど、楽譜を置き換えたり位置を移動させるのだ。歌手は、譜面台が用意されてるから使わなきゃ悪い、とでも思ったように、とってつけたような態度で、暗譜で歌うのに譜面台の近くに立ち、一応楽譜のページもめくるのだった。しかし、譜面を見ながら歌っている人はいない。摩訶不思議と言うか、意味がわからない。

主役の小野和歌子さんは、藝大OGでローマで活動し始めていて、細身で長身の日本人離れしたプロポーションでズボン役が似合うタイプである。顔立ちもいい。コンサート形式という演出のためか、さほど演技といえるほどの演技はないが、表情がシーンによってちゃんとと変えられるから、いい演出家によるプロダクションのきちんとしたオペラ舞台では期待できそうだ。しなやかそうな肢体が生かされず、不要な譜面台の前で、棒立ちで歌うことが多かったのが残念だ。

オペラ全体では、聴くほうは、アリアならScherza infida とDopo notteに全力を注いげばいい。歌うほうも多分そうだったろう。迫真の歌唱であった。これらのアリア場面での、演歌ショー的演出がちょっとヘンだが、まあ、今回はそういうコンセプトなんだろう。
全曲版は今まで聴いたことがなかったので、初めて聴くソプラノのアリアにもいい曲があることを知った。上記二つの曲に呼応した形になるジネヴラのアリアのメロディーが、どこかライトモティーフっぽく、役柄の心情を表現する作りになっているように感じられた。

随所に挿入されたバロック・ダンスも見ものであった。荘重かつ軽やかに跳躍の多いダンス形式で、皆さんきれいに舞う。しかし、こういうコンサート・オペラにダンスというのはちょっと異質で、とってつけたような、学内発表会風の印象になってしまうのが残念だった。


このオペラは、里帰り中、最も楽しみにしていたイヴェントだ。
有志に呼びかけて、いっしょにオペラ鑑賞後はオフ会ということになった。参加者は、アルチーナさん、Mevrouwさん、 REIKOさんと、日本ヘンデル協会の若いお友達の、計5人。熟女予備軍である。
着ていく着物には悩んだ。9月中旬だから、単衣だが、暑かったり雨だったらどうしようと。
結局、母の紬で、浅葱色に紺で大きな二つ巴の模様が全体に染められた小紋にした。絽の染め帯は、里帰りにあわせてネットで注文したもので、クリーム色の地に南蛮船と波が描かれている。どちらも夏らしい柄だ。
REIKOさんは、江戸紅型小紋(多分)にカラフルでかわいい模様を織り込んだ八寸の帯。東京風でしゃっきりすっきりした組み合わせで、お似合いだった。

上野駅に隣接する韓国料理店の個室でのオフ会は、大変盛り上がった。
韓国のにごり酒マッカリが半額というのを目ざとく見つけたので、皆マッカリ・ベースのカクテルやビール割りを注文した。マッカリ生ビールというのが、ベルギー・ビールにありそうな色と味でイケル。
お酒には結構強いわたしだが、アルチーナさんとMevさんのペースには、たじたじとなった。
たっぷり飲んで食べて、お喋りしまくり、皆さん存分に楽しまれたようだ。
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by didoregina | 2009-09-28 14:19 | オペラ実演 | Comments(14)
Commented by さわやか革命 at 2009-09-28 22:16 x
自分のブログには書き忘れたのですが、あの譜面台は確かに「なんだろなー」と思って見ていました。
服装は、印象では今流行の「昭和三十年代」を狙っているようにも見えましたが……どうなんでしょ??
まあ、あの演出はなかったことにして忘れるのがいいかも知れません。
Commented by sarahoctavian at 2009-09-29 02:43 x
ブログ上ではずっとお馴染みだった方々とこうして実際に会えて、しかも楽しいひと時を過ごせるのって嬉しいですね!それからいろんなメゾで聞きいたアリオダンテのアリアですが、日本人のしかも若くてズボン役が似合うメゾにちょっと注目しました。ご本人のブログもあるのね。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2009-09-29 07:38 x
日本で着物をお召しになったんですね。写真がなくて残念。たしかに9月の日本では色々心配だったことでしょう。ネットで注文もされたとのこと、やる気満々ですね。お互い気楽な海外での着物お出掛けに頑張りましょうね。
Commented by アルチーナ at 2009-09-29 10:11 x
初めの1杯を飲むペースが速かっただけで、トータル飲んだ量は同じですよ!!
バロックダンスは初めて観られたので嬉しかったのですが、確かにとってつけたような印象でしたね。
バロックオペラを上演する機会が少ないから良い機会という事で、無理やり入れたのでしょうか?
Commented by レイネ at 2009-09-29 15:11 x
さわやか革命さま、あの演出家が字幕も担当したようですが、突っ込みどころのある、言葉遣いでしたね。
でも、書き忘れたけど、日本語字幕のオペラを観たのは初めてで、文字が縦に出るというのも新鮮でした。

昭和30年代というのは、「Always 3丁目の夕日」みたいな雰囲気のことなんでしょうか?(と、知らないふりをする)
Commented by レイネ at 2009-09-29 15:15 x
sarahoctavianさま、小野さんは、ローマで「ばらの騎士」オクタヴィアンをやったそうです!ライバル現る。
でも、ルックスも声もいいから、彼女にはヨーロッパで活躍してもらいたいわ。だった、Scherza infidaなんて、サラ様に迫る勢いのしっとりとして、奥深い表現だったので、またも涙があふれそうになったほどでした。
Commented by レイネ at 2009-09-29 15:21 x
ロンドンの椿姫さま、東京でオペラに着物を着ていくのは、けっこう勇気が要りました。でも、同日同時間同公園内であった、ミラノ・スカラ座引越し公演と比べると、格も値段も低いので、くだけた感じの着物で丁度よかった。スカラ座公演とは10倍以上の値段の差があるから、客層も違ったことでしょう。

先日、リエージュの王立ワロン歌劇場のシーズン開幕プロ、ホセ・クーラ主演の「サムソンとデリラ」にも着物で行きました。これから、着物の季節だから、お出かけが楽しみになります。
Commented by レイネ at 2009-09-29 15:25 x
アルチーナさま、はいはい、当日会計担当だったので、しっかり飲んだ量もチェックしてるんですね。でも、本当は、最後の1杯は、もう別のにしようかとも思ったんですが、皆様の勢いに合わせて。

全体的に、盛りだくさんでお得感の強い公演で、珍しいバロックダンスも見られて、文句を言う筋合いではないのですが、トータルな演出に関しては、?マークの浮かぶものでした。
Commented by REIKO at 2009-09-30 14:32 x
公演も、その後のオフ会も、コストパフォーマンスがメチャ高い(笑)、お徳感がありましたね~♪
今思い出すと、Scherza~とDopo~の熱唱が、とても印象に残っています。
韓国のお酒でカクテルっていうのも、今まで考えたことありませんでしたが、今度家でも作って飲んでみようと思ってます。
Commented by レイネ at 2009-09-30 15:38 x
REIKOさま、小野さんのあの歌2曲が光り輝いていましたよね。伴奏の器楽も、心に染み入るものでした。もちろん、器楽演奏は総じて上手かったけど。

当日のお着物、REIKOさんらしさがうかがえる選択で、江戸文化研究で知られる漫画家の杉浦日向子さんぽいセンスだなあ、と思ってました。
着物で韓国料理、というのもいいものでしたね。
Commented by bonnjour at 2009-10-01 06:06
いいな、いいな、いいな。ヘンデルのオペラにバロックダンスに〆は韓国料理でマッカリですか!(どぶろく系、大好きです)。私の里帰りがもうちょっと早ければ、この企画に乱入したところですが(招かざる客?)。ツッコミどころのある言葉遣いの字幕、というのに興味しんしんです。妙に明治時代風とか?あるいは、若者に迎合して変な流行語を混ぜているとか?
Commented by レイネ at 2009-10-01 15:26 x
Bonnjourさま、参加できずに残念でした。でも、もしbonnjourさんが乱入されてたら、オフ会の酒量はもっと上がってたかも?次回は、申し合わせの上ぜひ。パリに遠征のご予定は、もうありませんか?タリスが格安というお知らせメール、がベルギー国鉄から毎週のように来るので。

字幕のツッコミどころは、第二の推測のほうです。ジネヴラのアリア、しょっぱなから、「うざったい」というのが出てきたり。
演出と字幕担当が同じ人、というのは、自分のコンセプトがはっきり打ち出せて、一貫性のある印象を作り上げることができるという利点もありますが。今回は、どうも字幕の言葉遣いには、センスのよさが感じられませんでした。
Commented by Mev at 2009-10-01 23:35 x
ああ、出遅れてしまいました~。ほんとにごめんなさい。
アリオダンテ、私はすっごく楽しみました。もちろんオフ会も最高でした。ほんとに皆さまには感謝感謝です。アルチーナさんにも豪華な桜餅をごちそうになっちゃったし、生REIKOさんの面白いお話もすごくうれしかったし、レイネさんにはお土産までいただいちゃって、幸せでございました。
そうそう、マッコリ生ビールは美味でございました。でも、私そんなに飲んだでしょうか???ごめんなさい。 

バロックダンスは、アーサー王を見たときも「とってつけた」印象で、これはもう仕方ないのかなと思います。自然にダンサーが登場して踊るドラマなどというのはあり得ないです。でも、ミュージカルの場合シリアスな演技の後急に歌いだすけど単に見る側が慣れているから平気です。 だからダンスも慣れれば平気になるかも?
小野和歌子さん、ちゃんとした衣装を着せて歌わせてあげたかったですね~。誠実そうな騎士というスタイル、似合いそうですものね。
Commented by レイネ at 2009-10-02 00:12 x
Mevさま、アルチーナさんによると、マッコリ生ビールは3人同量飲んだはずですが、わたしがびびったのは、お二人のテンポよ。
次回は、ご主人様にもぜひ参加していただきたいものです。ブログやってなくても接点はなぜか多い方なので、話題に詰ることはないでしょうから。

自然にダンサーが登場して踊るドラマ、といえば、ボリウッド映画以外ないでしょうね。または、マクヴィカー演出ものとか。

小野さんが歌った例のアリア2曲は、かなりサラ様に迫る勢いだと思いませんでした?本当に涙が出そうになったもの。
昨日、2年ぶりにナマで、マレーナ様を間近で見て歌を聴き、涙を流したわたしです。。。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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