吉原つなぎでパーティに

ピアノの師匠ペーターのご両親の結婚40周年パーティに招かれた。
一人っ子のペーターが全て密かに企画したもので、昼は親戚総勢20人ほどの昼食会、夜は80人招待してのコンサート兼パーティである。

昼食会は、サミットでよく使われるお城シャトー・シント・ゲルラッハで、ゴージャスなものだったようだ。夜の会場は、毎度おなじみ、ペーター主催のコンサート会場でわたしがピアノのレッスンも受けているライクハルト城だ。
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この時期は、暑くなったり寒くなったりで、着ていくものに悩む。当日は、夕方から日が照りだして妙に暑くなったので、浴衣を着物風に着ていくことにした。お酒やおつまみが出る立食パーティだから、絹の着物は避けたいところなので、丁度よかった。
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        吉原つなぎの浴衣にパープル系の博多献上帯。
        パーティの終わる頃には、衿がはだけてしまった。 


こういうパーティ(結婚何周年記念とか50歳の誕生パーティとか)では、まず入り口付近に祝われる側が立ち、招待客は、キスして挨拶しプレゼント(もしくはお金)を渡す。
オランダらしいというのか、ちゃっかりしているというのか、この15年くらいは、結婚式やこの手のパーティ招待状には、大抵の場合、封筒マークが印刷されているのが興を殺ぐ。封筒にお金を入れたものをプレゼントしてくださいと、アピールしているのだ。
ペーターからの招待状には、そんなはしたないマークは印刷してなかった。そうするとまた、プレゼントに悩むのである。ご両親には事前に何も知らせないサプライズ・パーティなので、ペーターに問い合わせると、「お金よりは、心のこもった物のほうがいい」とのことなので、オペラのDVDにした。彼ら一家はオペラ好きで、リエージュのオペラ座で20年くらい定期会員になっていたのだ。
しかし、当日、目にした限りでは、皆ほとんど封筒を手渡していた。うーむ、やはり、難しい。どうでもいいようなものをもらっても困るから、お金のほうが誰だってうれしいだろう。

お客は、そのままお城の玄関ホールで、飲み物を飲んでおしゃべりしながら全員集まるのを待つ。
招待客が全員揃ってから、ピアノのあるサロンに移り、コンサートが始まった。
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Schubert   Landler D790
A. Dietrich/Brahms/Schumann
FAE-Sonate
Kreisler Liebesleid, Liebesfreud
Liszt Reminiscences de Norma

最初のシューベルトと最後のリストは、母親Eが大好きな曲で、ピアノによる独奏。
真ん中の3曲はヴァイオリン・ソナタである。
ペーターと長くコンビを組んでいるヴァイオリニストのハンスが、登場。
これもご両親には秘密にしていた。
クライスラーの曲は、結婚40周年にふさわしいタイトルだ。


いつもコンサートでは、入り口のドア付近の補助席みたいなところに座っているご両親だが、今晩は主役だから、ピアノを真正面に見るいい位置が用意された。
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ほとんど普通のリサイタルの半分くらいの量のコンサートの後、一旦玄関ホールに出てまた飲んでるうちに、サロンからはピアノと椅子がのけられ、シャンペンとケーキの用意ができた。
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      いつもは殺風景な鏡の前や窓際にもフラワーアレンジメント。
      ペーターが密かにフロリストに頼んだものだ。
      ウエディング・ケーキはラズベリーとアーモンドで美味。

ここでようやく、乾杯して、その後は夜が更けるまで招待客同士歓談する。お酒はふんだんに振舞われるし、つまみもどんどん運ばれて来るし、自分でとって来てもいい。久しぶりに会う古い友や遠くから来た知人とのおしゃべりで、居心地がよかったので、わたしは招待客全員が帰ってから、ようやく御輿を上げた。

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          桐草履を脱いで、見せているところ。

吉原つなぎは、江戸っぽくていかにも母好みの模様だ。ちく仙(ちくは竹冠にニ)のだと思う。
去年、わたしのために誂えてくれたのだが、この柄を見て、一瞬ぎょっとした。日本では素人女性には、ちょっと着にくい。
もともと、吉原の引き手茶屋の暖簾に使われたという柄だから、粋な歌舞伎役者なんかが好む。
この柄の由来をガイジンに説明する時には、少し汗をかく。
旅館の浴衣なんかによくある白地に細かい柄とは、色も雰囲気も異なるので、この浴衣は着物として着るのが好きだ。

ビートルズ来日時に、飛行機から降りたとき着ていた半纏の模様も、吉原つなぎだったと、いせ辰のHPに書いてあった。
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by didoregina | 2009-09-07 15:09 | 着物 | Comments(6)
Commented by bonnjour at 2009-09-09 06:01
いやー、粋な柄ですね。こういう柄は難しいと思うけれど、さすがレイネさん、みごとに着こなしていますね。会場のお城とも不思議にマッチしてます。
Commented by レイネ at 2009-09-09 06:49 x
bonnjourさま、お褒め頂き、ありがとうございます。当日、コンサート会場は熱気むんむんだったので、浴衣で丁度よかったわ。
北ヨーロッパだと、真夏でもロングブーツ履いたりして、その日もブーツの人が多かったけど、暑くて大変だっただろうな、と思いました。
このお城にはしょっちゅう来てるので、自分の家みたいに居心地がいいのですが、実は不景気の折、売りに出されてるんです。ピアノのレッスンやコンサート、いつまでここでできるのかな。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2009-09-09 07:39 x
竺仙の浴衣は大好きですが、古典的な柄が多い中でこういう粋な柄もあるんですね。色も柄もすごく素敵でお似合いです。浴衣をこうして着物としてちゃんと着るとさらにグレードアップしますね。きっと注目の的だったでしょう。

心温まる素敵なコンサートも素晴らしいですね。幸せそうなご両親!
Commented by レイネ at 2009-09-09 15:17 x
ロンドンの椿姫さま、ちく仙の柄は、とっても江戸っぽくてわたしも大好きです。今年も何とかこの浴衣着ることができて、これで夏も終わった気分。(ここ数日は夏の暑さがぶり返してるけど)

子供が主導して祝ってもらえるというのは、年をとった証拠かもしれないけど、いいな。我が家はまだまだ。
Commented by Mev at 2009-09-09 21:52 x
コメントが遅くなってすみません。今頃レイネさんは機中の人かしら。。。日本でのコンサートは、もしかしてこの吉原つなぎのゆかたで???すっごく楽しみ!!!
Commented by レイネ at 2009-09-23 15:06 x
Mevさま、コメント返しが遅れました。オフ会は、とっても楽しかったですね。オペラも盛りだくさんの内容でお得感がありました。

日本では、やはり季節に応じた着物でないと、周りの目が厳しいので、9月なので単衣でした。模様は、この浴衣のように大きな巴柄
で、雰囲気は似てたかも。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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