リキアの遺跡    テュム・ベイとクサントス

水上生活が続くと、陸地が恋しくなる。
毎日フネをもやうと、歩くのが可能な上陸地点なら、付近を探検してみる。
大げさではなく、山羊の糞を道しるべに道なき道の藪を踏み分け、岩を登る、という探検行になるのだ。

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Tomb bayという入り江の切り立った崖には、神殿のような麿崖墳墓が刻まれている。

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藪を掻き分け、最後はロッククライミングで、たどり着いた。

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            崖の上から入り江を眺める。

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        蜃気楼のような、雪を戴いた山々が海上から望める。

1週間のセイリングの後、一旦出発港グチェックに戻った。そこから1日、バスを乗り継いで、リキアの遺跡の残るクサントスに出かけた。雪山が眼前間近に迫ってくる。

リキア(もしくはリュキア)というのは、ヒッタイトの流れを汲む古い文明で、小アジアの西南海岸沿いに点々と遺跡が残っている。トロイ戦争ではトロイ側につき、武勇を誇る小王国の連合であった。
その中でもクサントスには興味を惹かれた。大英博物館で、素敵なモニュメントに出会ったからだ。

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ネレイドの像が立つ、神殿風の廟。
モニュメントはそっくりロンドンに持っていかれ、現地に残るは看板のみ。

廃墟しか残っていないのでは、とおそるおそる出かけたのだが、なかなかどうして、兵どもが夢の跡、という雰囲気の見ごたえのある遺跡であった。

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   あんまり修復・整備されてないのが、かえってイマジネーションをかきたてる。

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   リキア独特の高い塔の上に載せた石棺。下の人物と比べると高さが分かる。
   馬の鞍型ゴシック・アーチの形状が独特。死者を運ぶセイレンのレリーフが美しい。

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          別の石棺。狩猟の様子が浮き彫りに。

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ローマ時代の劇場や、ギリシャ時代のアクロポリスも残る。碑文は、ギリシャ文字のようで、違う文字が混じったり、装飾模様も柱頭部分はギリシャ風のアーカンサスだったり、フリーズがオリエント風の幾何学模様だったりで、いろいろな要素が混在するのが、ミステリアス。

リキアの墳墓は各地に残っているが、ゴシック型の形状といい、麿崖に刻んだり、ギリシャ文明とは別物だ、というのは見ただけで素人目にもはっきり分かる。
アレキサンダー大王のインド遠征の影響が見られる、という説を読んだ。
また、エトルリア人の祖先は、この辺りのリディア人ではないか、ということがDNA測定の結果証明された、という話もある。
訪れたいリキアの遺跡は、まだ沢山あるので、次回のお楽しみにとっておくことにした。
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by didoregina | 2009-05-24 09:12 | 旅行 | Comments(7)
Commented by Mev at 2009-05-24 19:40 x
美しい遺跡ですねえ。トルコは不思議です。カッパドキアのような古代のものから、かくも状態のいいローマ時代の劇場遺跡もあり、アクロポリスもあり、ムスリムの遺産もあり。 文化のるつぼだったんですねえ。
それにしても、海のむこうに雲かうつつかというように浮かぶ雪山、すてきですねえ。(ためいき)
Commented by sarahoctavian at 2009-05-24 22:31 x
あぁ~この空と海の青、緑の木立、乾ききった岩肌や遺跡・・・エーゲ海に旅をしたくなりました。
Commented by レイネ at 2009-05-25 02:26 x
Mevさま、東西の文明の接点でもあり、大物の覇者にも統治されたので、遺跡めぐりと資料を読むのがたまらなく面白い所です。
あの雪山、蜃気楼みたいでうたかたの夢のような風景なので「こんなに暖かいし緯度も南なんだから、雪ってのはありえから白く見えるのは石灰だろう」と思っていたのですが、近づくと本当にスキーができそうな雪山でびっくり。すぐ近くの海では泳げるくらい暖かいのに!
Commented by レイネ at 2009-05-25 02:29 x
sarahoctavianさま、乾燥した空気と北ヨーロッパとは異なる植生のおかげで、花粉症に悩まされないのがとにかくうれしい地中海です。そのなかでもエーゲ海って一番ロマンや旅情がかきたてられます。夏は暑すぎるから、春や秋がお勧めです。
Commented by sarahoctavian at 2009-05-25 02:58 x
そうですね~地中海のカラッとした空気は、南ドイツの結構暑い夏とも全く異質に思えます。私はイタリアとフランスしか知らないんだけど、何たって日没前の暖かいバラ色の光線とハーブの香り一杯の空気が素晴らしいですよね。
Commented by レイネ at 2009-05-25 03:20 x
sarahさま、速攻レスありがとうございます。フランスなら、ヴァランスあたりからプロヴァンスのからから乾燥空気と植物になり、イタリアなら、アルプス越えただけで胸がほっとします。地中海地方って夏でも爽やかで、海岸にいても潮風や汗で肌がべっとりした感じにならないですよね。
エーゲ海は深度が特に深いので、本当にホメロスの言う「葡萄酒色」の海なのよ。
Commented by sarahoctavian at 2009-05-25 14:22 x
私が始めて南仏を訪れたのは、ほんの7,8年前だったの。そう、アルプスを抜けて高速道路をローヌ川沿いに南下中車窓を開けて、夫と(娘と同行した)義弟が「おお~っ!プロヴァンスの匂いだっ」って歓喜の声を上げてたのを今でも憶えてます。あたり一面タイムやローズマリーが雑草のように生えてたのが驚きだったなぁ~(憧憬)。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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