Peter Caelen en Hans van Kerckhoven@ Muziekschuur

日曜日にはピアノの先生ペーターと相棒のヴァイオリニスト、ハンスのコンサートに行ってきた。
レーピン様のマスタークラスはパスして。

国境を越えてすぐ、家から車で15分ほどのベルギーの小さな村にある、個人のお宅でのサロン・コンサートである。毎月1回サロンを開放してコンサートを開いているのは、私と同年輩のベルギー人女性である。アントワープ出身でファッションセンスが抜群。初めてお会いしたのに意気投合してしまった。
その自宅も、ご主人がニキ・ド・サン・ファールみたいな張子アーチストなので、その作品やミクロネシアの木の彫刻や楽器コレクションが沢山飾ってあり、広々とモダンでアーチスティックなだけでなく、大きな窓からは裏庭に続く丘陵地帯が借景として広がり、目を楽しませてくれる。

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J. Brahms: Scherzo in c WoO2
S. Prokofief: Vijf Melodieën op. 35b
P.I. Tschaikowski: Valse-Scherzo
F. Busoni: Sonate nr. 2 in e, op. 36a



プログラムを見たら、プロコフィエフとブゾーニという好きな作曲家の作品なので、聴きに行きたくなったのだ。(当日はチャイコフスキーの代わりに、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」になった。)
ペーターとハンスはもう数年コンビを組んでいて、何回かそのコンサートを聴いているが、彼らはいつも選曲のセンスがいい。そして、弟子でありながらうるさい批評もするわたしが拝聴しつつ挑むのを、先生は楽しみにしてくれている。

ブラームスのスケルツォは、彼らがよくアンコールに演奏する曲で、私は聴きなれているが、あまり普通は演奏されない、しかしいい曲である。まずは手馴れた曲で始めたのがよろしい。

プロコフィエフは、やはりもともとピアニストだな、と思わせる作曲家である。逆に言うとヴァイオリン曲ではあまりいい曲を作っていないと思う。ヴァイオリン・コンチェルトなんて難解だし、聴いててあまりうれしくない。この「5つのメロディー」は、初めて聴くが、やはりあまり耳に残らないというか、心に響いてこなかった。
現代的で、今日の聴衆もあまりついていけないようであった。しかし、おなじみの曲ばかりでは面白くないから、紹介というか教化の意味でこういう曲を入れるのもいい。

難解な曲の後は「ツィゴイネルワイゼン」でお客さんを喜ばせるのを忘れない。これは盛り上げるためのサービスである。
ハンスの独壇場になるので、ペーターは心の中で苦笑いしていたと思う。
ハンスのヴァイオリンは、グァルネリでお気に入りなのだが、小柄な彼によく合っている。(レーピン様もここ数年はグァルネリだが、とにかく体がでかいので彼が手にすると子供用のヴァイオリンに見える。。。)
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休憩の後はブゾーニで、やはりこれが本日のメインであった。ブゾーニもピアニストなのにヴァイオリン曲はなかなか悪くない。しかしブゾーニらしく、ピアノ・パートがかなり難しいため、ピアニストが弾いているのを見ていると苦しくなってくる。それで、なるべく目をつむって聴いた。瞑想に向く曲である。

コンサートの後は、地下室でアップルワインが振舞われた。アップルワインを飲むのは初めてだ。この地域の特産品で、知らなければりんごから作ったとはとても思えない、ぶどうで作った白ワインそっくりの香りと味わいだ。
感嘆していると、ご主人がご自慢のセラーを案内してくれた。日本原種の「ながふ」というりんごはアップルワインに適していると教えてくれた。熟成中の木の樽が5つと、発酵させるステンレスやガラスの樽が6、7並び、壁の片面は、ボトルに入った7,種類のアップルワインが並んでいる。ちょっとしたお店並みである。

本日の聴衆は40人くらいか。初めての人とも和気あいあいになれ、おしゃべりもはずむ、こういうサロンコンサートが好きである。ワインも美味しく居心地がいいため長居をしてしまい、わたしとシンディさんが最後の客になったのだった。
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by didoregina | 2009-03-04 22:07 | コンサート | Comments(9)
Commented by シンディ at 2009-03-05 08:59 x
同じ時間を共有しながら、認識したり残るものが違うと言うのは面白いですね。今回は、演奏者をかなり身近で見ることが出来たので、音楽を指で唱えるパフォーマンスとして鑑賞しました。ピアノは鍵盤の上を、バイオリンは弦の上で踊る指のダンスとして楽しみました。
だから、ブッゾーニはピアノ演奏者の指ばかり見ていました。演奏者の見える席は、お得な事がたくさん!なーんて考えながら、、、。毎度の事ながら、「あんな感じ、こんな感じ」と世界をアバウトに捉えている私と違って、第三者にも的確に伝わる表現力は、さすがレイネさま。
Commented by sarahoctavian at 2009-03-05 15:06 x
素敵な雰囲気の小ぢんまりとしたサロンコンサートいいですね~。アップルワインのお味は発泡性のシードルと違って、あれですか、フランクフルト名物エッベヴォイの方だったんでしょう?キリっと爽やかで大好きです。自分の家に樽が並んでるなんていいな~。あれは醸造免許いらないんですか?
Commented by レイネ at 2009-03-05 19:37 x
シンディさま、演奏者の息遣いも聞こえるくらいの間近な席は、やっぱりお得感がありますよね。
それに、アップルワインも沢山いただいちゃって、チケット代の元は十分取れました!
ブログを書くことによって記憶を絞りだして記録として残せるので、頭と表現力の訓練になって丁度いいんですよ。
Commented by レイネ at 2009-03-05 19:41 x
sarahoctavianさま、アップルワインていっても全然りんごの味や色、香りじゃなくて、ぶどうで作った白ワインみたいなの。ボトルも。シードルとは別物で、きっとフランクフルト名物に近いのかな。
近所にちゃんとした醸造所があって、そこから樽入りやその他いろいろを自宅に運び込んでるみたいです。セラーは熟成のためだけで。
Commented by Me at 2009-03-05 21:33 x
そんな素敵なサロンコンサートだなんて、あまりにも優雅!私には一生縁のなさそうな世界ですが、こうしてブログを読ませていただいているだけでなんだか共有しているような錯覚が。。。夢見ることは大切ですからね。
Commented by zwinker at 2009-03-06 20:45 x
サロンコンサート、音が迫ってくるのがとっても好きです。
それに演奏者の雰囲気まで伝わってくるので、
調子のよしあしもすぐ分かっちゃうし・・・。
アップルワインは、フランクフルトも産地なんですよ~。
飲みすぎて悪酔いした経験が・・・。
明日、私も次男君と一緒にサロンコンサートです。
Commented by レイネ at 2009-03-06 21:07 x
Mevさま、大きなコンサートホールがない田舎だからかえって、こういうサロンコンサートがさかんとも言えます。雰囲気は、いいですよ。限られた聴衆のために演奏してくれるってのもリッチだし、お得感が大きいです。
Commented by レイネ at 2009-03-06 21:12 x
zwinkerさま、臨場感が全然大きなホールとは違いますね。ステージも壇上ではないのでビシバシと伝わってくるものがダイレクトで。
来週末は、お城で限定200名の聴衆を迎えてのフォン・エッカルトシュタインのリサイタルです。それ以上は不可というピアニストのご希望で。。。
次男さまは、コンサートの楽しみに目覚めたのですね。
Commented by zwinker at 2009-03-07 02:54 x
うわぉ、お城ですか。
一昨年の夏に長男君の先生がお城隣接の古い図書館でコンサートを開いたときは、もう最高でした。それも湖に浮かぶ島・・・・。
コンサートもよかったし、雰囲気も最高・・・・。
そのコンサートのレビューも楽しみにしています。
明日は、次男君先生出演です。
ピアノの先生なのですが、フルートで出演です(笑


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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