琉球絣柄の信州紬

冬にはほっこりした感触の真綿紬に手が伸びる。
すこし厚手でざらっとした手触りでいて、発色がよく光沢のある信州紬が、マチネ・コン
サートにはぴったりなので、ブラウティガムのリサイタルに着ていく着物はこれに決めた。
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繭を真綿にしてから、手で紡ぎだした糸を草木染にして、琉球絣の模様に織り出した信州紬
である。

これを着ていたら、会場を出るとき、初老の男性が近づいてきて「やっぱり、絣模様を織り
出してある。たてよこしっかり、糸で模様を出しているから、染めのものとは違う。」と
わたしの着物に手を触れながら言う。
「ええ、沖縄の模様なんですよ。鳥が織り出されているのがわかります?日本の織物がお好
きですか?」と聞くと、
「ベルギーで染色と織物を勉強し、卒業製作で日本の絣模様を着物1反分織り上げました。」
と、思いがけないことを言う。
「ロッテルダムに久保田一竹の作品展を観にいったこともあります。独自のテクニックで
富士山の四季を染色してある美術工芸品で、その美しさにうたれました。」とも。

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その日のコンサートに来ていた客にはピアノ教師やセミ・プロが多そう、という雰囲気が
漂っていて、興味の対象も広いようだった。だから、休憩中に示される着物への関心も
「着物=芸者の着るもの」みたいな、こちらでの一般的解釈とは異なっていて、突っ込んだ
ことを訊ねてくる。織のテクニックや材質などについて話すのを感心して聞いてくれる人が
何人かいた。
へんな着物を着ていかなくてよかった、とつくづく思った。
しかし、こんな風に悪目立ちでなく注目を浴び、会話が弾むこともめずらしい。
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by didoregina | 2009-02-17 14:30 | 着物 | Comments(12)
Commented by アルチーナ at 2009-02-18 09:09 x
ああっ・・やはり日本の事、色々知っておかなければなりませんね。
でも興味を持つとヨーロッパの方たち?って聞いてきますよね・・?
むかーし、ヨーロッパ旅行中、私が持っていたカメラに興味をもたれたみたいで人が少し集まってきて、言葉もわからないし、どうしようかと思いました。
Commented by straycat at 2009-02-19 00:39 x
あら、素敵ですね~。
真綿で草木染めで手織り(ですよね?)とくれば、素晴らしいものに違いありません。この藍染がいいですね。でもそれをヨーロッパの方たちが分かるなんて、ちょっと意外です。

でも着物って織りの素晴らしいものは、写真で見るのと実際見るのと全然違いますよね、実物はほんとに伝わってくる勢いというか、力があります。
帯はどんなのですか?帯ももっとよく見せて下さいな(笑)
あ、もしかして前回紹介してくださった葛布ですか?
帯締めは、ゆるぎかな?
Commented by bonnjour at 2009-02-19 11:06
通好みのコンサート演目にふさわしい着物ですね。写真では遠目でしかわかりませんが、帯の色との配色も上品で、とっても素敵な着こなしです。

ちなみに沢山お持ちの着物の手入れはどのように?日本に送り返してクリーニングですか?私も日本から着物を持ってこようかと思いつつ、メンテナンスの難しさを考えると躊躇してしまいます。
Commented by レイネ at 2009-02-19 17:06 x
アルチーナ様、興味を持って聞いてきてくれるのはとってもうれしいですね。着物を着ていると英語で話しかけられることが多いの、きっと観光客だろうと思われて。
カメラに人が集まるってのは、当時最新式のカメラだったんでしょうかね、それともカメラオタクか、もしかしたらスリ集団に狙われたのかも。
Commented by レイネ at 2009-02-19 17:14 x
straycatさま、この着物は日本人にしか分からないだろうな、と思ったので、分かる人が現地人にいたのが意外でした。でも、織り出した絣模様は遠めにもはっきり見えたようです。
帯は、葛布のとは別物で、母が短い色糸を繋いだものを織ってもらったのです。いずれ記事をアップします。
すごい!帯締めが冠組みってこの小さい写真でわかるなんて!すこし紺がかった濃緑です。
Commented by レイネ at 2009-02-19 17:24 x
bonnjourさま、着物再デビューして1年ちょっとで、毎回違うのを着るようにしているので汚れもなく、まだ、プロによる手入れはしていません。とにかく汚さないようにするのが鉄則。でも、これからは、帰国のときクリーニングに出そうと思います。
ヨーロッパでは日本のようにあまり汗をかかないし、空気もきれいなせいか、着物はそんなに汚れないような気がします。着るといってもオペラやコンサートなどだけで外を出歩くわけでもないので。
だから、bonnjourさんも躊躇してないで着物を着ましょうよ!大人の愉しみの真骨頂です。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2009-02-22 08:03 x
素敵な色ですね。
そうですか、絣をよくご存知知識のある方がいらしたんですね。喜んで頂けたことでしょう。私も絞りの羽織を着てるときに、「シボリですね。実は私は日本で自分で絞りをしたこともあるんです」という中年のイギリス人女性に会ったこともあります。

私もオペラハウスで着物を着てると日本から来たと思われて、まずDo you speak English?と話しかけてくる人が多いです。ここに住んでると言うと、がっかりするみたいですけど。
Commented by レイネ at 2009-02-23 06:54 x
ロンドンの椿姫様、ありがとうございます。ほめられると励みになってますます着物を着るのが楽しくなります。
絞りは、知ってる人は知ってるんですよね。私の帽子の先生が「有松・鳴海絞り」のDVD(!)を持っていて、去年の夏日本に帰る直前に借りて見たんです。そしたら、どうしても有松に行きたくなって、行ったら絞りの浴衣が欲しくなって、ネットで買っちゃいました。有松は名古屋ですから、姫も行かれたことがあるんでしょうね、旧東海道の町並みが残っていていい所でした。

ところで、姫がたーくさんお持ちの着物のお手入れはどうされていますか?
Commented by ロンドンの椿姫 at 2009-02-25 05:17 x
有松は実家から近いのに、実は一度も行ったことがないんですよ。里帰りの度に訪れる候補に上がるのですが、いつでも行けるところには行かない典型みたいなものですね。
着物の手入れはロンドンではできないので、まず汚さないことを心がけてます。だからつい洗える着物に手が伸びてしまうわけです。ちょっと天気が悪かったり食べることが絡むときは心配したくないですもんね。正絹の着物を洗う時は日本に持ち帰るしか手がないと思います。
Commented by レイネ at 2009-02-25 17:46 x
ロンドンの椿姫さま、有松にはもう1度行ってもいいわ。それと、郡上八幡、こちらは姫も行かれてるでしょう?郡上紬にはとても手が出せそうにありませんから、飛騨高山みたいな古い家並みが残っていそうな町の観光だけ。
やっぱり、着物のお手入れは日本でしかできないんですね。ロンドンなら、着物のクリーニングもしてくれるのかと思ってましたが。さすがに、怖くて出せませんよね。
Commented by huruhon at 2009-12-22 14:39 x
リヨンとか、世界にも織りの古都がありますが、京都やら村山やら信州やら加賀やら、日本中に散らばる織りの文化以上のものはありませんね。
やはり細かなところに目が光る日本人独特の世界なんでしょうね。
首里に帯の織っているところを見学にいったことがありますが、そこにいたのは、フランス人。笑い。

やはり、国は関係なく、好きな人は好きなんですね。
ただ、日本人は、美意識がレイネさんのように並外れた人が、他国よりも多いということなんでしょうね。

読谷山織りも素敵ですよ。
Commented by レイネ at 2009-12-23 07:07 x
huruhonさま、西陣の名門帯屋さんのご当主が、若い頃、イタリアのコモに絹織物の勉強のため留学されたことを、展示会で話してくれました。イタリアの絹織物というと、ネクタイやスカーフに使われるものでしょうね、きっと。

ああ、琉球のものにはとっても惹かれます。久米島紬と、花織の帯と、紅型の帯を手に入れるのが夢なんです。いつか、気に入ったものにめぐり会えればと、出会いを待ってます。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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別名: didoregina
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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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